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【この記事の内容】
- 関西のJR西日本で、発売されている回数券と買い方を紹介します。
JR西日本は「回数券」を、ICOCA(イコカ)の導入区間で廃止しました(2021年9月末で発売終了)。
このため、関西でもほとんどの路線で回数券は発売されていません。
でも、JRはあまり案内していませんが、実は「京都駅~大阪駅」や「姫路駅~三ノ宮駅」など一部の区間では、今も回数券を買うことができるんです。
ここでは、知る人ぞ知る、今現在もJR西日本で発売されている回数券とその買い方を紹介します。

JR西日本の普通回数券は、障碍者用など特殊なものを除いて、全線で発売終了しました(2022年9月30日)。
JR西日本で発売している回数券
JR西日本は、ICOCAを導入している駅間(上図)の回数券を廃止しました。
関西では、ほとんどの路線がICOCA対応になっているので、山陰線や加古川線、姫新線などの一部を除いて、回数券の発売は終了しています。
でも、例外があって、下記の回数券は今現在も発売が継続されています。
- 身体障害者用、知的障害者用、通学用(放送大学、通信制高校)のもの
- JRの他社とまたがる区間のもの
- 新幹線経由のもの
「1」は、文字通りの特殊な回数券です。必要な証明書を駅窓口に提出すれば購入できます。証明書に記載の本人(と対象の介護者)しか使えません。
※障害者向けの普通回数券は、身体障害、知的障害の第1種障害者とその介護者、第2種障害者(単独)に発売されているもので、通常の普通回数券が50%割引になります。
※通学用割引回数券は、通信制高校の生徒と放送大学の学生向けに発売されているものです。通信制高校は5割引、放送大学は2割引になります
「2」の「JRの他社とまたがる区間」の回数券とは、例えば「大垣駅(JR東海)~彦根駅(JR西日本)」といったものです。
関西では、「米原駅」(琵琶湖線)、「亀山駅」(関西線)、「新宮駅」(紀勢線)でJRの会社が西日本と東海に分かれています(在来線の場合)。これらの駅をまたぐ区間の回数券は、現在でも発売されています。
そして、「3」の「新幹線経由」の回数券が、この記事の本題です。
このしくみを活用すると、回数券が廃止、発売終了した「在来線」の区間でも、以前と同じように回数券を買って、お得に利用できる場合があります。
以下、「新幹線経由の回数券」について、詳しく紹介していきます。
「3」新幹線経由の回数券とは?
新幹線の区間が入った回数券
「新幹線経由」の回数券とは、回数券の設定区間に新幹線の区間を組み入れたものです。
関西では、米原駅~相生駅で新幹線と在来線(東海道線、山陽線=琵琶湖線、JR京都線、JR神戸線)が並行して通っています。
例えば、「京都駅~新大阪駅」の回数券は、新快速や快速など在来線(JR京都線)を経由する回数券は廃止されましたが、新幹線を経由するものは、今でも発売されています。
その新幹線の「京都駅~新大阪駅」を途中で経由するとした、例えば「大津駅~大阪駅」という回数券も発売されています。
こうした新幹線を経由する回数券には「新幹線」の表示があります。
並行の在来線にも乗車OK
新幹線経由の回数券は、新幹線はもちろんですが、並行している在来線の同じ区間も利用することができるんです。
「京都駅~新大阪駅」の新幹線経由の回数券は、在来線の「京都駅~新大阪駅」も乗れるということです。
「大津駅~大阪駅(京都駅~新大阪駅は新幹線経由)」の回数券でも同じで、実際に「京都駅~新大阪駅」で新幹線に乗り換えなくても、「大津駅~大阪駅」を在来線で乗り通せます。
つまり、回数券が廃止された在来線の区間では、新幹線に乗る気がさらさらなくても、あえて新幹線経由に設定すれば、回数券が買えるということなんです。
こうした回数券の使い方は、JRの規則で、東海道・山陽新幹線(東京駅~新下関駅)と並行する在来線(東海道線、山陽線)は、基本的に同じ線路とみなすとされていることから、可能になります。
JR西日本の関西以外の並行区間でも適用されます。
そして、いうまでもなく不正乗車や違法行為ではありません。
新幹線経由回数券の値段と使い方
回数券で「新幹線経由」と聞くと、値段がなんか高そうな感じがするかもしれませんが、実際は廃止された在来線のものと同じです。
つまり、在来線の片道運賃×10回分です。これで11回利用できます。
「京都駅~新大阪駅」の片道運賃は570円なので、新幹線経由回数券の値段は1セット(11回分)5,700円です。
ただ、この区間は以前から回数券の割引率が高い「特定区間」になっているので、実際は11回分を9回分の値段(5,130円)で買えます。
あと「大津駅~大阪駅」の新幹線経由の回数券も、片道運賃が990円なので、その10倍の9,900円になります。
子供用も発売されています(半額)。ちなみに、大人の回数券1枚を子供2人で利用できます。
回数券自体は、お馴染み?の11枚がバラバラになった切符式のものです。
1日中いつでも使えて、乗り降りは駅の自動改札機に通すだけ。複数人と分けて使うことも可能です。
有効期間は買った日から3か月間です。
このように、新幹線経由の回数券といっても、値段も使い勝手も、廃止になった在来線のそれと何も変わりません。
新幹線経由回数券の発売条件
JR西日本の新幹線経由回数券は、次のような条件をクリアすれば、自由な区間を設定して買うことができます。
- 利用区間の距離(営業キロ)が200km以内。
- 利用区間に新幹線接続駅を2駅以上(新幹線の最低1駅区間)を入れる。
このなかでは特に、回数券の設定区間に新幹線の最低1駅区間を入れることがポイントです(新幹線経由なので)。
新幹線を入れられない区間や、新幹線1駅より短い近距離区間の回数券は、残念ながら買えません。
新幹線経由回数券の具体例
ここで、新幹線経由の回数券の具体例をいくつかみてみましょう。
繰り返しになりますが、「新幹線の区間」を実際に新幹線に乗る必要はありません(もし乗る場合は特急料金が別に必要です)。
回数券の設定区間 | 新幹線区間 | 片道運賃 | 回数券の値段 |
南草津駅~大阪駅 | 京都駅~新大阪駅 | 1,170円 | 11,700円 |
守山駅~天王寺駅 | 京都駅~新大阪駅 | 1,520円 | 15,200円 |
京都駅~大阪駅/新大阪駅 | 京都駅~新大阪駅 | 570円 | *5,130円 |
京都駅~三ノ宮駅 | 京都駅~新大阪駅 | 1,100円 | 11,000円 |
西明石駅~新大阪駅 | 西明石駅~新大阪駅 | 940円 | 9,400円 |
姫路駅~新大阪駅 | 姫路駅~新大阪駅 | 1,520円 | 15,200円 |
網干駅~三ノ宮駅 | 姫路駅~西明石駅 | 1,170円 | 11,700円 |
加古川駅~高槻駅 | 西明石駅~新大阪駅 | 1,690円 | 1,690円 |
新神戸駅~高槻駅 | 新神戸駅~新大阪駅 | 820円 | 8,200円 |
回数券は、設定区間の内側ならどの駅間でも使用できます。
例にある「西明石駅~新大阪駅」の回数券では、区間内にある在来線の明石駅、大阪駅でも乗り降りできます。
「明石駅~大阪駅」の回数券は、新幹線区間を入れられないので買えません。でも、「西明石駅~新大阪駅」で新幹線経由にすることで、回数券が買えることになります。値段も同じです。
それから、新幹線経由回数券の発着駅を「新神戸駅」に設定すると、在来線の「神戸駅」が利用できます。
例にある「新神戸駅~高槻駅」の新幹線経由回数券は、在来線の「神戸駅~高槻駅」も乗車できます。
このことを活用すると、例えば「三ノ宮駅~高槻駅」の回数券は廃止されましたが、「新神戸駅~高槻駅」の回数券を買えば代用が可能。値段も同じです。
新幹線経由の回数券の買い方(購入方法)
新幹線経由の回数券は、普通にJRの駅で買えます。
ただし、回数券設定区間の両端の駅に限られます。例えば「A駅~D駅」の回数券は、A駅かD駅でしか買えません。
A駅、D駅では、次のところで発売しています。支払いにクレジットカードも使えます。
- みどりの窓口
- みどりの券売機プラス(係員対応の通話機能あり)
実際に、窓口や券売機で購入する際ですが、係の人に「○○駅~○○駅で新幹線を経由する回数券」と伝える必要があります。
新幹線の区間も具体的に示した方が、よりスムーズです。
というのは、先述の通り、JR西日本は新幹線経由の回数券を積極的に販売していません。客から言われたら売るというスタイルなので、単に「回数券」というと「発売していない」と言われて終わりです。
※新幹線経由の回数券が買える券売機は「みどりの券売機『プラス』」だけです。係員を呼び出して購入します。普通の「みどりの券売機」や他の券売機(青色、ピンク色)では買えません。
※A駅、D駅ともに、みどりの窓口や券売機の無い駅、無人駅の場合は、他の駅で相談ください。
JR西日本の新幹線経由回数券まとめ
JR西日本の回数券廃止後も発売している、知る人ぞ知るの「新幹線経由の回数券」について、あらためてまとめました。
発売終了日 |
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形態 |
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方式 |
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発売条件 |
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買い方 (購入方法) |
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使い方 |
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有効期間 |
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払い戻し |
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払い戻し額(返金額)=回数券発売額-(使用済み枚数×普通運賃)-手数料220円 |

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