
こんな疑問にお答えします。
この記事の内容
- JR西日本の株主優待券とはどんなものか、割引内容や利用できる区間(範囲)、使い方を紹介します。
JR西日本の新幹線や特急列車を安く利用したいときは、「株主優待券(株主優待鉄道割引券)」を使う方法があります。
片道の切符代が5割引、つまり半額になるんです。
実際に株主にならなくても、街中の金券ショップやインターネットのオークション、フリマサイトで購入できます。
ただ、行先によっては、お得にならない場合がありますので、使う前の損得計算は必須です。
ここでは、JR西日本の株主優待券とはどんなものなのか、その内容や入手方法、使い方などをまとめました。

JR西日本の株主優待券とは?
JR西日本の株主優待券とは、JR西日本が自分たちの株を持っている人(=出資してくれている人=株主)に、特典として配付されるものです。
優待券1枚で片道5割引!往復なら2枚必要
JR西日本の株主優待券は、新幹線や特急列車を片道が5割引き(半額)で利用できます。
新幹線の「のぞみ」や「みずほ」にも使えます。
株主優待券「1枚」で | 「片道」1人分の「運賃」と「料金」が5割引 |
ここでいう「運賃」と「料金」とは、次の切符代のことです。
運賃 | 乗車券 |
料金 | 特急券、急行券、グリーン券(個室は除く)、指定席券 |
通常、新幹線や特急列車に乗る場合、乗車券と特急券(自由席/指定席/グリーン券)が必要です。
この両方の片道1人分が、株主優待券1枚で半額になります。
子供の場合は、小児運賃と小児料金の半額です。
また、往復とも割引を受けたいなら、優待券が2枚要ります。
なお、優待券2枚(5割引×2)で1人分の片道を無料にするという使い方はできません。
目的駅まで、複数の新幹線や特急列車を乗り継いでいく場合、4列車までの「料金」が割引になります。
【例】高槻駅(大阪府)から境港(鳥取県)まで利用する場合
切符の種類 | 有効区間 | 割引 | |
運賃 | 乗車券 | 高槻駅⇒境港駅 | 50%割引 |
料金 | 新幹線「のぞみ」指定席券 | 新大阪駅⇒岡山駅 | 50%割引 |
料金 | 特急「やくも」指定席券 | 岡山駅⇒米子駅 | 50%割引 |
なお、株主優待券には割引の対象外が一部あります。
株主優待券の割引は、上記のように、通常の乗車券や特急券が対象です。定期券やICOCA、企画切符(トクトクきっぷ)の購入には使えません。
また、往復割引、学生割引、団体割引、乗継割引、身体障害者割引など他の割引と併用はできません。
使える範囲はJR西日本限定
JR西日本の株主優待券は、JR西日本の営業区間(鉄道)でのみ有効です。
他社をまたいで乗車する場合は、JR西日本の区間だけが割引になります。
【他社へまたぐ利用例】
乗車区間 | 割引 |
京都駅⇒博多駅 (新幹線のぞみ号) |
|
広島駅⇒天橋立駅 (新幹線のぞみ号+特急はしだて号) |
|
新大阪駅⇒高知駅 (新幹線のぞみ+特急南風号) |
|
新神戸駅⇒鹿児島中央駅 (新幹線みずほ号) |
|
JR西日本株主優待券で利用できる新幹線は、山陽新幹線(新大阪駅~博多駅)、北陸新幹線(上越妙高駅~敦賀駅)です。
誰でも使える!GW・お盆・年末年始も使える!
JR西日本の株主優待券は、株主に配付されますが、実際に使うのは誰でも構いません。
また、使用する時期も、その有効期間内でしたら、特に制限はありません。ゴールデンウィーク、お盆、年末年始の「超繁忙期」も使えます。
JR西日本の株主優待券はいつまで使える?有効期限は?
JR西日本の株主優待券は、毎年1回発行、配付されます。
そして、それには有効期間が決められています。
【有効期間】7月1日から翌年の6月30日まで
この期間中に、優待券を使って切符を「購入」できます。
切符は、1ヵ月先の乗車分まで買えます。
例えば、有効期間の最終日6月30日には、7月30日までに利用開始(出発)する切符が買えます。
そして、その切符の有効期限まで使えます。
JR西日本株主優待券を入手するには?どこで買える?
JR西日本の株主優待券を手に入れる方法は、次の2つです。
- JR西日本の株主になる。
- 金券ショップやインターネット取引で買う。
言うまでもなく、本来の株主優待券を入手する方法は、JR西日本の株を買って株主になることです。
でも、株主全員が全員、優待券をもらえるわけではありません。次のような条件を満している場合だけです。
毎年3月31日時点で、
- 株主名簿に載っていること。
- 100株以上持っていること。
まず、最低100株の保有が必要です。100株で優待券1枚もらえます。
そのうえで、保有数300株以上と保有期間3年以上で、配付枚数が追加されます(下表)。
保有株式数 | もらえる枚数(通常発行) | 3年以上保有による追加枚数 |
---|---|---|
100株~399株 | 1枚 | なし |
400株~599株 | 2枚 | なし |
600株~799株 | 3枚 | 1枚 |
800株~999株 | 4枚 | なし |
1,000株~1,199株 | 5枚 | 2枚 |
1,200株~1,399株 | 6枚 | なし |
1,400株~1,599株 | 7枚 | なし |
1,600株~1,799株 | 8枚 | なし |
1,800株~1,999株 | 9枚 | なし |
2,000株~19,999株 | 10枚+400株ごとに1枚 | 3枚 |
20,000株~39,999株 | 55枚+600株ごとに1枚 | なし |
40,000株以上 | 100枚 | なし |
「100株」と言っても、買うとなると、30万円以上の資金がいります。
【現在のJR西日本の株価】
優待券をお目当てに株を買うのは、割が合いません。
JR西日本の株主優待券は、やはり金券ショップやインターネットのオークション、フリマサイトで買うのが、かしこいです。
新年度の株主優待券は、毎年6月下旬から株主のもとに届き始めます。これにあわせて、金券ショップなどにも出回ります。
値段の相場は、1枚5,000円前後です。
ただ、値段は時期によって変動しますので、こまめなチェックをおすすめします。
購入した株主優待券を使う場合の損得は?(注意点)
ここで、金券ショップやインターネット取引で買ったJR西日本の株主優待券を使うと、どれくらい安くなるのか、本当にお得なのかを、いくつかの例でみてみましょう。
ここでは、5,000円で買った株主優待券を1枚使うとします。
結論を先にいうと、必ずしもお得になるとは限りません。
【例1】新大阪駅~博多駅
- 新大阪駅~博多駅:山陽新幹線「のぞみ」(指定席)
通常 | 優待券 | |
運賃 | 9,790円 | 4,890円(5割引済み) |
料金 | 6,230円 | 3,110円(5割引済み) |
切符代合計 | 16,020円 | 8,000円 |
優待券代 | ー | 5,000円 |
費用合計 | 16,020円 | 13,000円 |
この大阪~博多のように、JR西日本の区間だけを「長距離」移動する場合は、優待券を使うと、その購入代金を入れても得になる場合がほとんどです。
でも、次の大阪~広島ぐらいの中距離?になってくると、微妙です。
【例2】新大阪駅~広島駅の場合
- 新大阪駅~広島駅:山陽新幹線「のぞみ」(指定席)
通常 | 優待券 | |
運賃 | 5,720円 | 2,860円(5割引済み) |
料金 | 5,230円 | 2,610円(5割引済み) |
切符代合計 | 10,950円 | 5,470円 |
優待券代 | ー | 5,000円 |
費用合計 | 10,950円 | 10,470円 |
このように、優待券を5,000円以上で買うと、逆に損になります。
さらに行先が近場(短距離)のときは、優待券が1,000円とか激安でゲットできないかぎり、使わない方がいいです。
【例3】新大阪駅~白浜駅の場合
- 新大阪駅~白浜駅:特急「くろしお」(指定席)
通常 | 優待券 | |
運賃 | 3,410円 | 1,700円(5割引済み) |
料金 | 2,730円 | 1,360円(5割引済み) |
切符代合計 | 6,140円 | 3,060円 |
優待券代 | ー | 5,000円 |
費用合計 | 6,140円 | 8,060円 |
次は、JR西日本以外の他社へまたぐ利用の場合です。
【例4】新大阪駅~熊本駅の場合
- 新大阪駅~博多駅:山陽新幹線「みずほ」(指定席)
- 博多駅~熊本駅:九州新幹線「みずほ」(指定席)
通常 | 優待券 | |
運賃 | 11,110円(通し運賃) | 山陽:4,890円(5割引済み) 九州:2,420円(割引対象外) |
料金 | 9,120円(通し料金) | 山陽:3,110円(5割引済み) 九州:3,420円(割引対象外) |
切符代合計 | 20,230円 | 13,840円 |
優待券代 | ー | 5,000円 |
費用合計 | 20,230円 | 18,840円 |
大阪~鹿児島は乗り換えなしで新幹線移動ができるようになりましたが、路線上は、途中の博多駅で、JR西日本の山陽新幹線とJR九州の九州新幹線とに分かれています。
JR西日本の株主優待券が効くのは、山陽新幹線だけ。
このため、切符代の計算は、上記のようにそれぞれ別々に行います(列車は乗り通してOK)。
九州新幹線の部分は、大阪からの通しの値段(遠いほどお得)との差額ではありません。
上の例では、優待券が5,000円だと、ほとんどメリットはありません。
JR西日本と他社とまたぐ列車を利用する場合、区間によって、特にJR西日本側の乗車距離が短いと、損になることが多いので、注意してください。
【参考】JR西日本と他社をまたぐ列車の例
- 山陽・東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」(JR西日本~新大阪駅~JR東海)
- 山陽・九州新幹線「みずほ」「さくら」(JR西日本~博多駅~JR九州)
- 北陸新幹線「かがやき」「はくたか」(JR西日本~上越妙高駅~JR東日本)
- 特急「スーパーはくと」「スーパーいなば」(JR西日本~上郡・智頭駅~智頭急行)
- 特急「はしだて」(JR西日本~福知山駅~京都丹後鉄道)
- 特急「しおかぜ」「南風」「うずしお」(JR西日本~児島駅~JR四国)
- 快速「マリンライナー」(JR西日本~児島駅~JR四国)
- 特急「ひだ」(JR西日本~米原駅~JR東海)
【例5】大阪駅~富山駅の場合
- 大阪駅~敦賀駅:特急「サンダーバード」(指定席)
- 敦賀駅~富山駅:北陸新幹線「つるぎ」(指定席)
通常 | 優待券 | |
運賃 | 5,720円 | 2,860円(5割引済み) |
料金 | サンダーバード+つるぎ:4,570円(乗継割引済み) | サンダーバード:1,190円(5割引済み) つるぎ:1,580円(5割引済み) |
切符代合計 | 10,290円 | 5,630円 |
優待券代 | ー | 5,000円 |
費用合計 | 10,290円 | 10,630円 |
この例のように、通常の場合、北陸新幹線と特急列車を敦賀駅で乗り継ぐと、特急列車の「料金」に「乗り継ぎ割引」が適用されます。
株主優待券だと、「乗り継ぎ割引」は適用できませんので、新幹線と特急列車それぞれの料金が半額になります。
この例も、やはり優待券の買い値次第。次の例もそうです。
【例6】新大阪駅~出雲市の場合
- 新大阪駅~岡山駅:山陽新幹線「のぞみ」(指定席)
- 岡山駅~出雲市駅:特急「やくも」(指定席)
通常 | 優待券 | |
運賃 | 6,600円 | 3,300円(5割引済み) |
料金 | のぞみ:3,380円 やくも:2,950円 |
のぞみ:1,690円(5割引済み) やくも:1,470円(5割引済み) |
切符代合計 | 12,930円 | 6,460円 |
優待券代 | ー | 5,000円 |
費用合計 | 12,930円 | 11,460円 |
山陽新幹線と特急列車との間では、「乗り継ぎ割引」はありません。単純に合計します。
【例7】大阪駅~鳥取駅の場合
- 大阪駅~鳥取駅:特急「スーパーはくと」(指定席)
通常 | 優待券 | |
運賃 | JR:2,640円 智頭:1,320円 |
JR:1,320円(5割引済み) 智頭:1,320円(割引対象外) |
料金 | JR:2,730円 智頭:830円 |
JR:1,360円(5割引済み) 智頭:830円(割引対象外) |
切符代合計 | 7,520円 | 4,830円 |
優待券代 | ー | 5,000円 |
費用合計 | 7,520円 | 9,830円 |
京阪神~鳥取方面の特急列車「スーパーはくと」号は、途中の「上郡駅~智頭駅」で「智頭急行」というJR西日本ではない鉄道会社の区間を通ります(下図)。
このため、株主優待券の割引は、「上郡駅~智頭駅」を除いた区間のJR運賃と特急料金だけに適用されます。
※岡山駅~鳥取駅の特急「スーパーいなば」号も同じです。
※JRの区間の運賃と特急料金は、「京阪神・岡山~上郡駅」「智頭駅~鳥取方面」の合算した距離で計算します。株主優待はその半額です。
JR西日本株主優待券の使い方は?(切符の買い方)
JR西日本の株主優待券を入手したら、いよいよ切符の購入です。
株主優待券を使って買えるところは、下記のとおりです。
- JR西日本の駅の「みどりの窓口」
- 「みどりの券売機プラス(係員が遠隔対応)」または「みどりの券売機」
- インターネット予約サイト「e5489」
利用する当日でも使えます。
なお、JR西日本の株主優待券なので、「JR西日本」でしか取り扱っていません。他のJRや旅行会社では使えません。
※米原駅、京都駅、新大阪駅、小倉駅、博多駅には、JR西日本とは別に、JR東海やJR九州の窓口もあります。そこでは優待券は使えません。
※上越妙高駅(北陸新幹線)、南小谷駅(大糸線)、亀山駅(関西線)には、JR西日本の窓口、券売機自体がありません。このため、優待券を使って切符は買えません。
駅の「みどりの窓口」で購入
「みどりの窓口」では、係員に株主優待券を提示して、利用する日や区間、希望の列車などを伝えるだけです。
備え付けの「購入申込書」に記入して、いっしょに提出するとスムーズですし、間違いも防げます。
「みどりの窓口」は、設置駅が減っていますが、対面で相談しながら買えるので安心です。
支払いには、現金、クレジットカードが使えます(ICOCA、PiTaPaなどICカードはダメ)。
「みどりの券売機プラス」「みどりの券売機」で購入
「みどりの券売機プラス(係員対応可能)」「みどりの券売機」では、株主優待券に印刷されているQRコードを読み込ませます(優待券番号とパスワードの手入力でもOK)。
その後、画面の表示や係員の案内に従って、操作を進めていきます。
支払いには、現金、クレジットカードが使えます(ICOCA、PiTaPaなどICカードはダメ)。
「みどりの窓口」「みどりの券売機プラス」設置駅の確認はこちら。
インターネットの「e5489」で購入
株主優待券は、インターネット購入でも使えます。
スマホやパソコンから、JR西日本の予約サイト「e5489」にアクセスして、切符を購入します。
「e5489」の会員でなくても、利用できます。
「新規予約」から、希望の乗車日、区間、列車を選択すると、切符の種類の並びに「株主優待割引」があります。
そこから選んで、予約を進めていきます。
その際、優待券番号とパスワードの入力が必要です。
支払い方法は、クレジットカード、駅払い、コンビニ払いから選べます。
そして、購入した切符は、出発するまでに、駅の「みどりの窓口」か「みどりの券売機プラス」「みどりの券売機」で受け取る必要があります。
切符の現物がないと、列車には乗れません。
まとめ:JR西日本の株主優待公式サイト
JR西日本株主優待券のポイントまとめ
- 株主優待券1枚で、片道1人分の運賃と料金が5割引きになります。
- JR西日本の株主優待券は、JR西日本の区間でのみ有効です。
- 学割や往復割引、乗り継ぎ割引など他の割引と併用できません。
- 有効期間があります(例年7月1日~翌6月30日まで)。
- 株主優待券を使って切符を買えるのは、JR西日本の駅にある「みどりの窓口」と「みどりの券売機プラス」「みどりの券売機」、ネット予約「e5489」です。
- 株主優待券は、金券ショップやインターネット取引で買えます。
- 株主優待券の購入価格によっては、必ずしも切符がお得になるとは限りません。
JR西日本の株主優待券についての最新情報は、JR西日本の公式サイトで確認ください。
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