和歌山の加太(かだ)」へ、大阪からできるだけ安く出かけたいというあなたは、南海電車の「加太観光きっぷ」という切符を一度チェックしてみてください。
ただ「加太観光きっぷ」は、必ずしもお得ではありません。使い方次第では損になることもあるので注意が必要です。
ここでは、「加太観光きっぷ」がどんな切符なのか、その内容や値段、購入方法をメリットとデメリット(損得)をふまえて紹介します。【2020年版】
目次
「加太観光きっぷ」ってどんな切符?
大阪~和歌山の往復と加太線乗り放題がセット!
南海電車の「加太観光きっぷ」は、南海電車の大阪から和歌山市駅まで往復と加太線の1日乗り放題がセットになった割引切符です。
「加太観光きっぷ」の有効区間
- 南海電車の発売駅~和歌山市駅間の往復または片道(途中下車できません)
- 南海加太線の全線(和歌山市駅~加太駅間)が1日乗り放題(乗り降り自由)
※「発売駅」は難波駅、新今宮駅、天下茶屋駅、住吉大社駅、堺駅、関西空港駅です。
「加太観光きっぷ」「往復版」と「片道版」があります。
「往復版」は文字通り日帰り用です。「片道版」は大阪方面から加太への片道だけのもので、泊りがけの旅行や帰省に向いています。
加太から大阪方面への片道には使えません。
また、「往復版」「片道版」それぞれに、大阪~和歌山市駅の間を特急「サザン」の指定席を利用する「座席指定券付き版」が用意されています。
加太へは南海電車でアクセス!
加太は海の眺めがきれいな漁師町です。大阪府と和歌山県の境目あたりに位置します。温泉地でもあり、関西有数の”釣り場”、そして、夏は海水浴スポットでもあります。
あと、関西ではニュースの定番ネタである「ひな人形の供養」で有名な淡嶋神社があったり、「天空の城ラピュタ」の雰囲気が味わえるとして話題の「友ヶ島」へ渡る拠点にもなっています。
その加太へ大阪方面から電車でアクセスするときは、南海電車の利用になります。
「和歌山市駅」まで行って、加太線に乗り換えます。そして終点が「加太駅」です。難波駅からは特急を乗り継いで約90分です。
加太線には、「めでたい電車」という可愛らしい観光用の電車が走っています。3種類あって、それぞれ車両の外側だけでなく車内も趣向がこらした装飾になっています。利用には特別な料金や予約は必要ありません。
せっかく加太に行くなら、話のタネにでも乗ってみましょう。「めでたい電車」の最新の運転時刻は、南海電車の公式サイトで確認ください(下方にリンクがあります)。
温泉入浴料の割引など優待特典つき
「加太観光きっぷ」には、それを加太や加太線の沿線で提携している温泉旅館(日帰り入浴)や飲食店、土産物店で提示すると、料金の割引など優待が受けられる特典がついています。
例えば、加太の温泉旅館「加太海月」さんでは、日帰り温泉の入浴料が半額(大人1200円⇒600円、子供700円⇒350円)になります。
「加太観光きっぷ」で優待が受けられる場所の例【加太駅周辺】
- 大阪屋「ひいなの湯」(入浴料割引)
- 加太温泉「加太海月」(入浴料割引)
- 料理旅館「あたらし屋」(入浴料割引)
- あぶりの湯「ペンションふじや」(入浴料割引)
- 休暇村紀州加太(入浴料割引)
- 磯賀屋(粗品進呈)
- 淡島海苔(粗品進呈)
このほかにも加太や加太線の沿線の提携店で特典が用意されています。詳しくは南海電車の公式サイト(下方にリンクあり)で確認ください。
「加太観光きっぷ」の値段は?(2020年版)
「加太観光きっぷ」の値段はこちらです。発売駅に関係なく一律となっています。
種類 | 大人 | 子供 | |
【往復版】 大阪⇔加太 |
通常 | 2,000円 | 990円 |
特急指定券付き | 2,520円 | 1,260円 | |
【片道版】 大阪⇒加太 |
通常 | 1,420円 | 710円 |
特急指定券付き | 1,730円 | 870円 |
※「通常版」でも、特急「サザン」の一般車両(自由席)を利用できます。「サザン」は自由席車と指定席車を連結しています。
「加太観光きっぷ」が得な場合と損な場合(メリット&デメリット)
「加太観光きっぷ」は、加太に行くならぜったいお得!というわけではありません。値段が微妙です。買う前によく検討してください。
普通に行くだけなら「加太観光きっぷ」は損!メリット無し!
大阪と加太駅の間を、単純に往復するだけでしたら、「加太観光きっぷ」(通常版)は損です。値段的に買うメリットはありません。
大阪方面から加太駅までの南海電車の普通運賃を、「加太観光きっぷ」の値段と比べてみると、「往復版」「片道版」ともに、普通運賃の方が安いです。特に「片道版」は「加太観光きっぷ」の方が割高です。
南海電車加太駅までの普通運賃(大人)
出発駅 | 加太駅までの普通運賃 | 加太観光きっぷ(通常版) | |
往復版 | 片道版 | ||
難波駅 | 970円(往復1,940円) | 2,000円 | 1,420円 |
新今宮駅 | 970円(往復1,940円) | 2,000円 | 1,420円 |
天下茶屋駅 | 930円(往復1,860円) | 2,000円 | 1,420円 |
住吉大社駅 | 930円(往復1,860円) | 2,000円 | 1,420円 |
堺駅 | 890円(往復1,780円) | 2,000円 | 1,420円 |
関西空港駅 | 980円(往復1,960円) | ー | 1,420円 |
「加太観光きっぷ」は電車代としては損です。
しかし、温泉入浴料の割引など優待特典を使うとメリットが出ることがありますので、予定を考えるときに確認してみてください。
「和歌山市駅」で途中下車するならメリットあり!
大阪から加太に行って帰るだけなら、「加太観光きっぷ」(通常版)にメリットはありませんが、加太線の沿線や「和歌山市駅」で途中下車をするとお得になります。
難波駅~加太駅の利用で、帰りに和歌山市駅で途中下車した場合
通常(普通運賃) | 加太観光きっぷ(往復・通常) |
・難波駅⇒加太駅 970円 ・加太駅⇒和歌山市駅 340円 ・和歌山市駅⇒難波駅 930円 合計 2,240円 |
2,000円 11%お得! |
「加太観光きっぷ」は、加太線(和歌山市駅~加太駅)が1日乗り放題ですので、1駅ででも下車すると得になります(往復版)。
【加太線の運賃例】
初乗り運賃 | 160円 |
和歌山市駅~加太駅 | 340円 |
二里ヶ浜駅~加太駅 | 210円 |
和歌山市駅~磯ノ浦駅 | 260円 |
特急「サザン」の指定席を往復利用すると得!
「加太観光きっぷ」は、大阪方面から加太駅まで往復する際に、途中の和歌山市駅まで特急「サザン」の指定席を利用するとお得です。
特急の指定席が通常料金よりも実質半額で利用できます。ちなみに「片道版」の場合は、「加太観光きっぷ」の方が割高なので、電車代としてはメリットはありません。
通常の座席指定料金 | 片道520円 |
加太観光きっぷ | 通常版と指定券付き版の差額520円⇒片道260円 |
【特急「サザン」指定席を往復利用した場合の比較】
発着駅 | 往復運賃 | 指定席 | 通常合計 | 加太観光きっぷ(往復版) |
難波・新今宮 | 1,940円 | 1,040円 | 2,940円 | 2,520 円 14%お得! |
天下・住吉大社 | 1,860円 | 1,040円 | 2,860円 | 2,520 円 12%お得! |
堺 | 1,780円 | 1,040円 | 2,760円 | 2,520 円 9%お得! |
「片道版」は値段的に損です。
発着駅 | 片道運賃 | 指定席 | 通常合計 | 加太観光きっぷ(片道版) |
難波・新今宮 | 970円 | 520円 | 1,490円 | 1,730円 |
天下・住吉大社 | 930円 | 520円 | 1,450円 | 1,730円 |
堺 | 890円 | 520円 | 1,410円 | 1,730円 |
このようにサザンの指定席を利用する場合に「加太観光きっぷ」の本領が出ます。
指定席は、混雑に関係なく車内でゆったりと過ごせるのが最大のメリット。特に疲れた帰りは値打ちがあります。車内で弁当が食べやすい点もいいです。
※「加太観光きっぷ」の「通常版」で指定席を利用する場合は、正規の料金(片道520円)で座席指定券を別に購入する必要があります。
「加太観光きっぷ」の発売期間と有効期間は?(2020年版)
発売期間(買える期間)
「加太観光きっぷ」は、下記の期間限定で発売されています。
【2020年版】
2020年(令和2年)4月1日〜2021年(令和3年)3月31日
有効期間(使える期間)
2020年(令和2年)4月1日〜2021年(令和2年)3月31日のうちの1日
※乗車当日のみ有効です。
「加太観光きっぷ」はどこで買える?(購入方法)
「加太観光きっぷ」は発売期間中、利用する日(加太へ出かける日)の1か月前から当日まで、以下の南海電車の駅窓口で購入できます。
- 難波駅(2階のサービスセンター・3階改札口の特急券発売所)
- 新今宮駅
- 天下茶屋駅
- 住吉大社駅
- 堺駅
- 関西空港駅(片道版のみ)
※買うときには利用日を指定する必要があります。
※支払いにクレジットカードも使えます。
※買った後で使わなくなったときは、全く未使用で有効期間内であれば購入場所で払い戻ししてもらえます。ただし手数料が520円かかります。
「加太観光きっぷ」公式サイト
「加太観光きっぷ」の優待特典の詳細や最新情報、「めでたい電車」の時刻表などは南海電車の公式サイトで確認ください。
大阪から加太へ釣りや海水浴、温泉など南海電車で出かける際、「加太観光きっぷ」の損得ポイントをまとめておきます。
- 「片道版」(通常版)は全くメリットありません。⇒片道なら普通の切符で。
- 「往復版」(通常版)は加太駅まで単純に往復利用するだけなら損です。⇒普通の切符で。
- 「往復版」(通常版)で途中の「和歌山市駅」や加太線沿線で途中下車するなら得です(通常版でも)。
- 「往復版(指定席付)」で特急「サザン」の指定席を往復利用するなら得です。
以上は、あくまで電車代だけを見た場合の損得になります。
優待特典を利用するなど、使い方次第では得になります。加太に出かけるときは、まずは旅の予定と「加太観光きっぷ」を照らし合わせてみてください。