
こんなお悩みにお答えします。
この記事の内容
- JRの「秋の乗り放題パス」を紹介します(内容、値段、発売期間、購入方法、使い方)。
秋の遠出や小旅行を考え中だけど、交通費はできるだけ安く抑えたいというあなた、JRの「秋の乗り放題パス」という切符は、チェックしておきましょう。
これは、文字通り、北海道から九州まで全国のJR(普通列車)が乗り降り自由(乗り放題)できる格安の切符です。子供用もあります。
ここでは、「秋の乗り放題パス」の内容、値段、発売期間、購入方法を、鉄道にそれほど詳しくない人にも分かりやすいように、紹介していきます。【2022年版】

JR「秋の乗り放題パス」ってどんな切符?
「秋の乗り放題パス」は、毎年「鉄道の日」(毎年10月14日)に合わせて期間限定で発売されます。
ちなみに、鉄道の日とは、1872年(明治5年)に新橋・横浜間に日本で初めての鉄道が開通した日にちなんでいます。今年2022年は、鉄道開業150周年にあたります。
「秋の乗り放題パス」では、下記の列車などが3日間乗り放題(乗り降り自由)で利用できます。
- JR全線の普通列車(快速、新快速を含む)
- JR西日本の宮島フェリー(広島の宮島口港~宮島港)
- JR東日本のBRT全線(東北の大船渡線、気仙沼線のバスによる震災復旧路線)
「普通列車」というのは、特急券を買わなくても、乗車券(普通の切符、回数券、定期券)だけで乗れる列車のことです。
具体的には、各駅停車(普通)のほか、快速、新快速、区間快速、○○路快速などです。
ただ、例外もありますので、注意が必要です。
「秋の乗り放題パス」を使った旅行計画づくりには、「青春18きっぷ」関係の本が参考になります。
列車時刻やのりかえ検索は、「ジョルダン」の青春18きっぷ用サイトが便利。スマホアプリでは有料なのでブラウザからアクセス。
JR「秋の乗り放題パス」で利用できない列車は?
「秋の乗り放題パス」での列車利用については、次の3つのパターンがあります。
- 「秋の乗り放題パス」だけで乗れる。
- 「秋の乗り放題パス」に、料金を追加すると乗れる。
- 「秋の乗り放題パス」では、絶対に乗れない。
それぞれを上から「○」「△」「×」として、表にまとめました。
列車の種類 | 利用の可否 | 例外など |
新幹線 | × | 北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅~木古内駅のみ「オプション券」を購入すると利用できます。 |
特急・急行 | × | ごく一部、自由席が利用できる区間があります(青森駅~新青森駅、新得駅~新夕張駅、宮崎駅~宮崎空港駅、早岐駅~佐世保駅) |
普通列車の自由席 | ○ | 快速、新快速も利用できます。 |
普通列車の指定席 | △ | 指定席券を別に購入すると利用できます。 |
普通列車(グリーン自由席) | △ | グリーン券を別に購入すると利用できます。 |
普通列車(グリーン指定席) | × | |
普通列車(座席定員制) | △ | 乗車整理券を別に購入すると利用できます。 |
新快速のAシート | △ | 指定券を別に購入すると利用できます。 |
他社の路線 | × | 一部、通過に限って利用できる区間があります(金沢駅~津幡駅、富山駅~高岡駅)。 |
JR西日本の宮島フェリー | ○ | |
JR東日本のBRT(バス) | ○ |
新幹線や特急には乗れません。
「秋の乗り放題パス」で、新幹線と特急列車は利用できません。特急券を追加で買ってもダメです。
もし、新幹線や特急を利用したいときは、特急券とあわせて乗車券も買う必要があります。
ただし、例外的に「秋の乗り放題パス」で、特急列車(自由席)に乗れる区間があります。これは、普通列車の本数が極端に少ないという事情によります。
「秋の乗り放題パス」で特急の自由席が利用できる区間
- 新青森駅~青森駅の間(青森県)
- 新得駅~新夕張駅の間(北海道)
- 宮崎駅~宮崎空港駅の間(宮崎県)
- 早岐駅~佐世保駅の間(長崎県)
本州と北海道との間の鉄道は、新幹線しか走っていません。このため、「秋の乗り放題パス」では移動できません。
そこで、「北海道新幹線オプション券」という切符が発売されています。これを追加で購入すると、新幹線を利用できます(奥津軽いまべつ駅~木古内駅のみ)。
普通列車の「指定席」は利用できます。
普通列車は、基本的に自由席(空いている座席に座れる)なのですが、全車両あるいは一部が指定席になっている列車があります。
観光列車や臨時列車によくみられます。新快速のAシートもそうです。
普通列車なので「秋の乗り放題パス」で乗れるのですが、指定券を追加で購入する必要があります。
あと、指定席ではありませんが、座席定員制(座席は自由席だけど座数分の人数しか乗れない)の普通列車(よく「ホームライナー」と呼ばれます)が走っている路線があります。
この場合も「秋の乗り放題パス」で乗れますが、別に「乗車整理券」を買わないといけません。
グリーン車は利用できる場合とできない場合が。
路線によっては、普通列車にグリーン車が連結されています。
そのグリーン車には、実は2種類あります。
- 自由席のグリーン車(首都圏の東海道線、横須賀線、宇都宮線、高崎線、常磐線など)
- 指定席のグリーン車(岡山~高松の快速マリンライナーなど)
このうち「自由席」のグリーン車には、「秋の乗り放題パス」にグリーン料金をプラスすることで乗車できます。
一方、「指定席」の方は、普通列車であるにもかかわらず、追加料金を払っても「秋の乗り放題パス」では乗れません。
豪華さを売りにした観光列車は、グリーン指定席の扱いになっていることが多いです。
JR以外の他社は利用できません。
「秋の乗り放題パス」は、全国のJRが乗り放題です。逆に、JR以外の鉄道会社は利用できません。
他社を利用する際は、その会社の通常運賃が別に必要です。
他社といっても、JRと駅舎や改札口が共通だったり、JRの車両がそのまま他社に直通していたりするなど、よそ者には分かりにくい場合があります。
また、新幹線の新規開業で、もともとJRだった路線が他社に変わっているところも多いです。
知らないで乗ると、想定外の出費が発生しますので、事前確認をおすすめします。
関西周辺の注意したい「他社」の例
- 智頭急行(上郡駅~智頭駅)
- 京都丹後鉄道(豊岡駅~西舞鶴駅、福知山駅~宮津駅)
- 若桜鉄道【鳥取県】(郡家駅~若桜駅)
- 井原鉄道【岡山・広島県】(清音駅~神辺駅)
- 伊勢鉄道(河原田駅〜津駅)※JR快速「みえ」は途中経由するので注意
- あいの風とやま鉄道&IRいしかわ鉄道(富山駅~金沢駅)
- 南海電車(りんくうタウン駅~関西空港駅 ※JRはOK)
新幹線の開業で他社に移管されたJR区間の例
区間(地域、旧JR路線) | 他社 |
木古内駅~五稜郭駅(北海道、江差線) | 道南いさりび鉄道 |
青森駅~目時駅(青森県、東北線) | 青い森鉄道 |
盛岡駅~目時駅(岩手県、東北線) | IGRいわて銀河鉄道 |
軽井沢駅~篠ノ井駅(長野県、信越線) | しなの鉄道 |
長野駅~妙高高原駅(長野県、信越線) | しなの鉄道 |
妙高高原駅~直江津駅(新潟県、信越線) | えちごトキめき鉄道 |
直江津駅~市振駅(新潟県、北陸線) | えちごトキめき鉄道 |
市振駅~倶利伽羅駅(富山県、北陸線) | あいの風とやま鉄道 |
倶利伽羅駅~金沢駅(石川県、北陸線) | IRいしかわ鉄道 |
八代駅~川内駅(熊本・鹿児島県、鹿児島線) | 肥薩おれんじ鉄道 |
これらは、もともとはJRの幹線だった一部なので、移動には便利で重要な路線です。でも、今はもうJRではないので、「秋の乗り放題パス」は使えません。
追加料金を払って、北陸(金沢~富山~直江津)を通るときは、土日祝限定ですが、こんなお得な切符があります。
なお、他社の路線でも、特例で「秋の乗り放題パス」で利用できる区間もあります。ただし通過するだけ、途中下車できないという条件付きです。
通過だけできる他社の区間(途中下車すると運賃が必要)
- あいの風とやま鉄道(高岡駅~富山駅の間、高岡駅と富山駅では途中下車OK)
- IRいしかわ鉄道(金沢駅~津幡駅の間、金沢駅と津幡駅では途中下車OK)
- 青い森鉄道(青森駅~八戸駅の間、青森駅~野辺地駅の間、八戸駅~野辺地駅の間、青森駅・八戸駅・野辺地駅では途中下車OK)
「鉄道開業150年記念」スタンプラリー付き
2022年版の「秋の乗り放題パス」を買うと、「鉄道開業150年記念・秋乗りミッション!」が付きます。
これは、スマホを使ったスタンプラリー(ハンコ集め)で、対象駅の「STATION STAMP」を集めると、限定スペシャルスタンプが手に入るという内容です。
「STATION STAMP」は、150 年にちなんで鉄道の歴史を感じていただけるような JR各社の駅舎や魅力的な観光地をモチーフにしたデジタル版スタンプです。全国の JR の対象の駅にご用意しています。
詳しくは、TRAIN TRIPの公式サイトへ
JR「秋の乗り放題パス」の発売期間と有効期間は?(2022年版)
発売期間(買える期間)
「秋の乗り放題パス」は期間限定で発売されます。発売期間は下記の通りです。
【2022年版】
2022年(令和4年)9月10日~10月21日
※「北海道新幹線オプション券」の発売は9月10日~10月23日まで。購入には「秋の乗り放題パス」が必要です。単独では買えません。
有効期間(使える期間)
「秋の乗り放題パス」は、下記の期間内の好きな3日間使えます。ただし、3日間は連続している必要があります。
2022年(令和4年)10月1日~10月23日のうち連続する3日間
※有効の3日間は、各日0時から24時を過ぎた最初の停車駅まで乗り放題できます。なお、東京と大阪の「電車特定区間」内では終電まで有効です。
※「北海道新幹線オプション券」の有効期間も同じです。
JR「秋の乗り放題パス」の値段は?(2022年版)
「秋の乗り放題パス」の値段はこのようになっています。子供用もあります。
大人 | 7,850円 |
子供 | 3,920円 |
この値段は3日分なので、1日あたりにすると大人は2,616円、子供は1,306円です。この金額で日本中乗り放題です。
泊りがけの旅行のほか、3日連続の日帰り利用も可能です。仕事や用事で毎日少し離れた場所へ出向くとき(片道運賃1,310円以上)や、何か所か途中下車して回るときなどに、うまく活用すれば経費節減が期待できますよ。
ちなみに、「青春18きっぷ」は1日あたり2,410円なので、それよりちょっとだけ高い設定になっています。
※「北海道新幹線オプション券」(片道1回)は、大人2,490円、子供1,240円です。
JR「秋の乗り放題パス」はどこで買える?(購入方法)
「秋の乗り放題パス」は発売期間中に下記の場所で直接購入できます。
- 全国JR駅の「みどりの窓口」、一部の券売機
- 主な旅行会社の支店、営業所
早朝に出発したいときは、発売窓口が営業していない場合がありますので、前もって買っておいた方がいいです。
また、旅行会社はJRの切符を発売している営業所や支店なら、JTB、日本旅行、近畿日本ツーリスト、阪急交通社など大手の会社でなくても、ほとんど店舗で買えます。
なお、会社によっては、取扱手数料を取られることがあります。購入の前に確認ください。
【補足】JR「秋の乗り放題パス」の買い方&使い方
買うときに利用開始日を指定。
「秋の乗り放題パス」は、買うときに利用を開始する日(出発日)を指定しないといけません。つまり、購入までに、あらかじめ旅行の日程を決めておく必要があります。
このため、「秋の乗り放題パス」は「青春18きっぷ」のように、買ってから気が向いたときに出かけるという使い方はできません。
「秋の乗り放題パス」は利用開始日から、連続した3日間有効です。くどいですが、好きな3日を選べるわけではありません。
なお、「秋の乗り放題パス」を買った後で、利用開始日を変更したい場合は、駅の窓口で1回できます(利用開始の前日までに)。
※切符に利用開始の日付が入るため、金券ショップなどへの転売は難しいです。
※買った後で使わなくなった場合、未使用で使用開始日まででしたら購入した場所で払い戻しできます(手数料220円がかかります)。
使えるのは1人だけ。
「秋の乗り放題パス」は、持参した本人1人しか使えません。
「青春18きっぷ」のように、例えば、1枚を友達3人とシェアして日帰り旅行に出かけるといった使い方はできません。
実際の使い方は、駅に出入りする際、普通に自動改札機に通します。改札機がない駅では駅員さんに、無人駅の場合は、列車の乗務員に提示します。
JR「秋の乗り放題パス」公式サイト
「秋の乗り放題パス」の最新情報についてはJR西日本などJR各社の公式サイトで確認ください。
JRの「秋の乗り放題パス」は、泊りがけの旅行に向いています。旅館やホテルに泊まる場合はコロナの対策のためにも、当日の飛び込みするより、できるだけ予約しておくことをおすすめします。

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