
こんな疑問にお答えします。
この記事の内容
- 定期券って、どんなもの?(基本知識、使い方)
- 定期券の買い方
通勤や通学の交通費を節約する定番の方法は、「定期券」を使うことです。
「定期券」の名前は知っていても、それがどんなものなのかは、イマイチ分かっていない人もいると思います。
だれも教えてくれませんし、買うときに説明もないので当然です。
にもかかわらず、知っていて当たり前という雰囲気がありますよね。
そこで、ここでは定期券の使い方や買い方など、知っておいて損はない基本的なことについて、関西の鉄道を例にしながら、まとめました。

定期券とはどんな切符?【使い方の基本】
定期券は、例えば1か月や6か月といった期間中に、あなたが指定した区間(駅間)を、何回でも利用できる乗車券です。
正式には「定期乗車券」といいます。
割引率が高いので、通勤や通学などで決まった区間を、よく乗るような場合は、利用回数にもよりますが、電車代の節約が期待できます。
定期券のまとめ

定期券の例(山陽電車HPより)
上図は、通勤6カ月定期券の例です。
利用できるのは「高砂駅~播州赤穂駅」の区間で、途中、姫路駅を通るルートです。他のルートでは使えません。
「高砂駅~姫路駅~播州赤穂駅」のすべての駅で乗り降りできます(乗り放題)。
有効期間は2021年4月15日から10月14日までです。10月14日の終電まで使えます。
実際に使えるのは、「サンヨウタロウ」本人だけです。他の人に貸したりできません。
定期券は鉄道会社ごとに購入します。
定期券は、利用する鉄道会社ごとに作るのが基本です。
例えば、自宅から職場まで2つの鉄道会社を乗り継いで通勤する場合は、2枚の定期券を持ち歩くことになります。
ただ、鉄道会社の組み合わせや、利用する区間、乗り換え駅によっては、定期券を1枚にまとめられることがあります。
こうした2社以上の定期券を1枚にしたものを「連絡定期券」と言います。
例えば、大阪メトロ(地下鉄)では、次の鉄道会社との「連絡定期券」が買えます。
- 大阪モノレール
- 北大阪急行
- 近鉄電車
- 京阪電車
- 泉北高速鉄道
- 南海電車
- 阪急電車
- 阪神電車
- JR西日本
2社の連絡定期券だけでなく、例えば、「阪神~メトロ~京阪」「阪急~メトロ~南海」「南海~メトロ~近鉄」といった3社分をまとめることもできます。
※2社でも3社でも連絡定期券では、乗り換え駅や発売区間が決まっています。自由に設定できません。
なお、連絡定期券には、金額的なメリットはありません。
複数枚の定期券を1枚にできるというだけです。
※地下鉄と市バスの連絡定期など一部で、割引設定されている場合もあります(少数派)。
定期券区間は乗り降り自由(乗り放題)です。
定期券は、購入する際に、自宅や職場、学校の最寄駅、乗り換え駅など、乗り降りする駅を2か所指定します。
経路(ルート)が複数ある場合は、それも合わせて指定します。
定期券は、その指定した2つの駅同士を結ぶ区間・ルートで使えます。
しかも、そのルート上の途中にある全ての駅でも、自由に乗り降りできます。
つまり、定期券の区間は乗り放題ということです。通勤や通学以外にも使い道が広がります。
定期券の区間の外へ乗り越した場合は、乗り越した区間の通常運賃を別に支払います。
定期券の有効期間は3種類です。(いつからいつまで?)
定期券の有効期間(使える期間)は、鉄道会社によって決められています。
基本的に1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の3種類です。
自分で好きに設定できません。期間があらかじめ定められているからこその「定期」券です。
上図の例では、6ヶ月定期券で、4月1日から9月30日までが有効期間、つまり、使える期間です。
4月1日の始発から、9月30日の終電まで、B駅とE駅の区間で利用できます。
定期券の有効期間は、次のように決められています。
種類 | 有効期間(使える期間) |
1ヶ月定期券 | 有効開始日から1ヶ月後の同じ日の前日まで |
3ヶ月定期券 | 有効開始日から3ヶ月後の同じ日の前日まで |
6ヶ月定期券 | 有効開始日から6ヶ月後の同じ日の前日まで |
「有効開始日」は、必ずしも、定期券を買った日や、実際に使い始める日と同じではありません。
買う時に、自分で14日先までの日付で決められます(後述します)。
有効期間について、言葉だけではイメージしにくいと思いますので、具体的な日付の例でみてみましょう。
有効開始日 | 1ヶ月定期の期限 | 3ヶ月定期の期限 | 6ヶ月定期の期限 |
6月1日 | 6月30日 | 8月31日 | 11月30日 |
8月31日 | 9月30日 | 11月30日 | 2月28日(29日) |
10月10日 | 11月9日 | 1月9日 | 4月9日 |
12月1日 | 12月31日 | 2月28日(29日) | 5月31日 |
1月31日 | 2月28日(29日) | 4月30日 | 7月30日 |
6月1日開始の1ヶ月定期券の有効期限は、1か月後の同じ日、7月1日の前日、6月30日という具合です
ただ、月末に開始する定期券だと、カレンダー上に同じ日が無いことがあります。それでも、その前日が期限になります。
例えば、1月31日開始の3ヶ月定期券の場合は、3か月後の同じ日、存在しないですが4月31日の前日ということで、4月30日が有効期限です。
同じように、1ヶ月定期券では、同じ日の2月31日の前日、2月30日が期限。この日も存在しないので、実際は2月28日(うるう年は29日)になります。
ちなみに、月によって日数の違いがありますが、定期代(金額)は変わりません。
本人以外は使えません(貸し借り禁止)。
ほとんどの鉄道会社の定期券は「記名式」です。
表面に持ち主(利用者)の名前が記載されるようになっていて、その本人しか使えません。
家族や友達と貸し借りしたり、他人に譲ったりすることは禁止されています。
振り替え輸送が利用できます。
事故や災害で、電車の運転が見合わせになった場合、他の鉄道へ「振り替え輸送」が実施されることがあります。
このとき、定期券の利用者は、乗車のタイミングや振替乗車票の有無に関係なく、そのまま「振り替え輸送」を無料で利用できます。
ちなみに、振り替え輸送もなく、運休が連続5日以上続いた場合は、日割りでの払い戻しや有効期限の延長が実施されます。
逆に、1日~数日間の運休だと、何の補償もありません(まるまる損)。
料金追加で特急や指定席が利用できます。
有料の特急列車や指定席車が運行されている鉄道会社では、定期券に、特急券や座席指定券を追加で購入すると利用できます(一部除く)。
【関西の場合】
定期券のカタチ【磁気カード式とICカード式の違い】
定期券のカタチ(形状)には次の2つがあります。
- 磁気カード式
- ICカード式
ローカル線には紙製のところもありますが、鉄道会社の多くは磁気カード式、あるいは磁気カード式とICカード式の両方を採用していています。
磁気カード式とは、従来の裏が黒色で、薄くペラペラしたプラスチック製のもの。自動改札機に「通す」タイプです。
ICカード式は、「ICOCA(イコカ)」「PiTaPa(ピタパ)」などICカードに、定期券の機能をプラスしたもの。自動改札機に「タッチする」タイプです。
両方を扱っている鉄道会社では、買うときに好きな方を選べますが、利用区間や券種(通勤/通学など)、連絡定期券の組み合わせによって、どちらかに限定されることがあります。
最近は磁気カード式の定期券を廃止して、ICカードのみのところが増えています。
磁気カード式とICカード式とでは、定期代や基本的な使い方は同じです。ただ、下記の点に違いがあります。
磁気カード式 | ICカード式 |
|
|
大きな違いは、紛失したり盗難に遭った場合、再発行ができるかどうかです。
磁気カード式は失くしたらオワリですが、ICカード式は再発行が可能。
定期券は高い買い物なので、不都合がなければ、ICカード式をおすすめします。
なお、期間の途中でも「磁気⇒ICカード」の変更はできます(「発行替え」と呼びます)。手数料もかかりません。
関西の鉄道では、ほとんどの会社で「ICOCA」「PiTaPa」が使えますが、定期券の発行ができるかどうかは別です。
主な鉄道会社の取り扱い状況は下図のとおりです。
ICOCA定期 | PiTaPa定期 | |
JR西日本 | ○ | × |
近鉄電車 | ○ | × |
南海電車 | ○ | ○ |
京阪電車 | ○ | × |
阪急電車 | ○ | ○ |
阪神電車・神戸高速 | ○ | ○ |
山陽電車 | ○ | ○ |
神戸電鉄 | ○ | ○ |
能勢電鉄 | ○ | ○ |
泉北高速 | ○ | ○ |
大阪メトロ | ○ | × |
神戸市営地下鉄 | ○ | ○ |
京都市営地下鉄 | ○ | × |
北大阪急行 | ○ | ○ |
大阪モノレール | ○ | × |
ポート/六甲ライナー | × | ○ |
「×」が付いている会社でも、「○」の他社との「連絡定期券」なら買えることがあります(○側の会社で購入)。
例えば、大阪メトロ~阪急電車の連絡定期券の場合、大阪メトロではPiTaPa定期を扱っていませんが、阪急電車の発売所でならPiTaPa定期が買えます。
※ICカード式定期券は、その地域のものでしか作れません。例えば、関西では、「ICOCA」「PiTaPa」以外の「Suica」「PASMO」「TOICA」などで定期券は作れません。
※「モバイルICOCA」の定期券は、JR西日本のみで発売しています。
ICカード定期は、基本的に他の切符やICカードと併用はできません。ICOCA定期については、一部例外があります。
・JR西日本では、ICOCA定期と普通の切符を併用できます。
ICカード定期券の期限が切れたあとは、次のどちらかの取り扱いになります。
- 一旦使えなくする。
- ICカードとしてそのまま使う。
これは、定期券を買うときに選べます(使用中に変更もできます)。
※ICカードとして使う場合、記名式のままなので本人以外は使えません(再発行メリットはそのまま)。無記名式への変更も可能です(再発行できなくなります)。
定期券の種類【通勤と通学】
一般的な定期券には2種類あります。
- 通勤定期券
- 通学定期券
これをみると、定期券は「通勤」「通学」以外の目的では買えないと思うかもしれませんが、実はそうではありません。
「通勤定期券」は誰でも買えます。
通勤定期券は、「通勤」と名前が付いていますが、通勤に限らず、習い事、通院、バイトなど、どんな目的でも作れます。
買うときに、目的を尋ねられることもありません。
そして、お金さえ出せば、サラリーマンでなくても、誰でも買えます。身分証明書も必要ありません。
なんと子供用の「通勤定期券」もあります(使う場面が想像しにくいですが。。。)
また、定期券の利用区間も自由に設定できます。
同じ区間を頻繁に利用するようでしたら、通勤定期券の購入を検討してみることをおすすめします。回数券よりも割引率がいいです(後述します)。
「通学定期券」は限定発売。
通学定期券の方は、文字通り「通学」目的に限定されています。
そして、定期代は、同じ区間の通勤定期券より4~6割、安く設定されています。
通学定期券は、修学上の経済的負担を軽減することを目的に大幅な割引をしているため、(JR西日本公式サイトより)
このため、誰でも好きに買えるものではなく、発売の条件がいくつかあります。
- 「鉄道会社が指定した」学校に在籍中の生徒や学生が対象。
- 発売は「学校が証明した」自宅最寄駅~学校最寄駅の(最短)区間のみ。
- 塾やバイト、部活、就活などが目的では買えません。
通学定期券を買うときは「学生証・生徒証」や「通学証明書」の提示が必要です。これらがあれば、代理人でも購入できます。
ちなみに、証明書類は「鉄道会社が指定する」学校が発行したものでないと受け付けてもらえません。
小学校、中学校、高校、高専、大学は指定されています。
要注意は、専門学校や予備校です。
運営者が「学校法人」でしたら、たいがい大丈夫ですが、対象の学科やコースが限定されていることがあります。
予備校だと、高校生向けのコースや夏期講習などは、対象外の場合がほとんどです。
いずれにしても、念のため、入学前に学校に確認する方が安心です。
通学定期券が買えるかどうかで、交通費がかなり変わってきますので。
あと、定期券が作れる区間も、上記のように自宅と学校の最寄駅の間と限定されています。
塾やバイト先の最寄駅との間では作れません。この区間で定期券を作りたいなら「通勤定期」を買うしかありません。
ただ、通学定期券を買った後の利用は自由です。
定期券の区間内なら、塾通いやバイト、買い物、遊びなどプライベートで使ってもOKです。
JRや京都・神戸の市営地下鉄の通学定期券には、大学生用(専門学校を含む)、高校生用、中学生用、小学生用の区別があります。
定期券の買い方【新規と継続】
定期券はどこで買える?(購入場所)
定期券は、鉄道会社の定期券発売所(JRは「みどりの窓口」)で買います。
会社によっては、券売機(定期券自動発行機、多機能券売機)でも買えます。
定期券はどうやって買う?(購入手続き)
定期券の買い方には、「新規購入」と「継続購入」があります。
定期券の新規購入とは?
「新規購入」は、文字通りです。後述する「継続購入」以外は、全部「新規購入」の扱いになります。
定期券を新規購入する際は、購入申込書に、利用する区間、使用開始日、有効期間(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)、そして名前や年齢、連絡先などを記入して、窓口に提出します(自動発行機の場合は手入力)。
ICカード定期券にする場合は、カードを持参します。持っていない場合は、発売所でも買えます。
あと、身分証明書は必要ありませんが、個人情報を偽って購入することは禁止されています。
実際問題として、定期券を落としたときに連絡がもらえたり、払い戻しや再発行の手続には本人確認を伴いますので、正確に申告している方がいいです。
通学定期券の場合は、学校が発行した「学生証」「通学証明書」の提示も必要です。
*定期券の購入申込書は、発売所に備え付けてあります。公式サイトからダウンロードできる会社もあります。
*鉄道会社によっては、予約受け付けを実施しています(ネット、電話)。窓口や券売機での手間が省けます。
定期券の継続購入とは?
「継続購入」は、今使っている定期券の期限が切れた後も、それと同じ種類、区間、経路(ルート)のものを購入することをいいます。
この場合、今の定期券の有効期限(最終日)と次の定期券の開始日との間に、日にちを空けられません。
今の定期券の期限が3月31日なら、次の定期券は自動的に4月1日開始になります。
そして、継続購入しても、定期代が安くなるとか値段的なメリットは何もありません。
手間がちょっと減るくらいなので、こだわらくて大丈夫です。
継続購入する際は、今の定期券が切れる前、有効期間中に手続きします。次の定期券の有効開始日の14日前(2週間前の同じ曜日)から買えます。
例えば、今使っている定期券が9月30日まででしたら、継続の定期券は10月1日から有効になりますので、その14日前の9月17日から購入できます。
「継続購入」で定期券を買うと、今使っている定期券は回収されて、「継続」の文字が入った、新しいものが発行されます(ICカード定期券の場合は上書き)。そして、その時点から使えます。
購入の手続きは、新規購入と同じです。
購入申込書と今使っている定期券を出します。ただ、自動発券機では、個人情報の入力なく簡単に買えます。
通学定期券も、年度替わりに絡まない時期でしたら、通学証明書や学生証がなくても買えるところが多いです。
次の場合は「新規購入」になります。
- 利用区間など、定期券の内容を変更するとき。
- 今の定期券の期限が切れてから購入するとき。
- 今の定期券の終了日と次の定期券の開始日との間に日を空けたいとき。
定期券はいつから買える?(購入のタイミング)
定期券は、使い始めたい日の14日前から買えます。
継続購入する場合は、先述の通り、次の期間が始まる14日前から買えます。
定期代の支払い方法は?
定期代の支払い方法は、現金かクレジットカードです。ICカードも使えません。
ただ、クレジットカードが使えない鉄道会社があります。定期代は、まとまった出費なので、事前に確認している方が無難です。
VISAやマスターカードなど国際ブランドのデビットカード、プリペイドカード(実物あり)もほとんど使えます。
定期券の払い戻し・区間変更
有効期間の途中で、定期券を使わなくなった場合は、払い戻ししてもらえます。
ただ、その計算方法が独特なので、払い戻しの申し込み日によっては、返金が全くないこともあります。
また、定期券の有効期間中に、利用区間やルートを変更したいときは、一旦、今の定期券を解約・払い戻しして、新たに定期券を買うという流れになります。
定期券の払い戻しについては、こちらの記事をご覧ください。
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