
こんなお悩みにお答えします。
【この記事の内容】
- 大阪メトロ(地下鉄)の割引サービス「プレミアム」とは?
- 「プレミアム」の申し込み方法
大阪地下鉄(メトロ)では、ICカードのPiTaPa(ピタパ)を使った運賃の割引サービスがいくつか用意されています。
大阪の地下鉄は、JRや私鉄に比べると運賃が高めなので、なかなか魅力的です。
特に、定期代を節約したいと思っているあなたは、一度検討してみる値打ちがありますよ。
定期券より得なのか損なのかは、シミュレーションできるようになっているのですが、そもそもどんなサービスなのかが、公式サイトなどの説明だけではちょっと分かりにくいです。
ここでは。割引サービスの1つ「プレミアム」というプランについて、そのしくみと利用方法、メリットやデメリットについて、できるだけ分かりやすく解説していきます。

大阪地下鉄のPiTaPa「プレミアム」とは?
大阪地下鉄(メトロ)の「プレミアム」とは、ICカードの「PiTaPa(ピタパ)」を使う独自の運賃割引サービスです。
このため、利用するにはPiTaPaカードが必要になります。
「プレミアム」というプランは、1ヶ月間にPiTaPaで地下鉄の指定範囲を利用した運賃の請求について、上限の金額が設定されているというものです。
エリア内が乗り放題で利用できます
定期券の場合、「A駅⇔B駅」のものなら、その2つの駅の間だけ利用できます。区間の途中にある駅では乗り降り自由です。
これに対して、PiTaPa「プレミアム」は、A駅を中心とする一定の範囲(エリア)が利用できます。その範囲のなかでは乗り降り自由です。
定期券は点と点を結ぶ「線」の利用、PiTaPa「プレミアム」は「面」の利用というイメージです。
「プレミアム」の利用エリアは、申し込みの時に登録する「登録駅」(1か所)をもとに、自動的に決められます。上の図では、A駅が「登録駅」です。
そして、エリアの大きさは「小エリア」「中エリア」「大エリア」の3段階から選べます。
選んだエリア内にある登録駅以外の駅を「対象駅」といいます。
登録駅⇔対象駅、対象駅⇔対象駅で乗り放題できます。
区分 | 対象駅 |
小エリア | 登録駅から通常の運賃が230円する区間に相当する範囲 |
中エリア | 登録駅から通常の運賃が280円する区間に相当する範囲 |
大エリア | 登録駅から通常の運賃が330円する区間に相当する範囲 |
登録駅によって、エリアの範囲(対象駅)がどうなるかは、大阪メトロの公式サイトで簡単にシミュレーションして確認できます。
たとえば「梅田駅」を「登録駅」としてシミュレーションした場合、エリア設定は以下のようになります。
赤枠の駅が「登録駅」、緑枠の駅が「対象駅」です。
【登録駅を梅田駅に設定】「小エリア」の場合
【登録駅を梅田駅に設定】「中エリア」の場合
【登録駅を梅田駅に設定】「大エリア」の場合
自宅や職場の最寄駅、買い物や遊びなどプライベートでよく利用する駅が、エリア内の対象駅に含まれていると、定期券よりも使える範囲が広がって便利になります。
ひと月に何回乗っても上限額以上かかりません
毎月の請求額に上限があります
PiTaPa「プレミアム」では、エリア内で毎月1日から末日まで利用した運賃の請求額に、表のような上限が設けられています。
プレミアムの上限額 | 1ヶ月通勤定期券代 | |
小エリア | 9,190円 | 9,100円 |
中エリア | 10,960円 | 10,650円 |
大エリア | 12,320円 | 11,450円 |
例えば、「小エリア」を選んだ場合、その範囲内なら1ヶ月のうちに何回地下鉄に乗っても、請求は9,190円を超えることはありません。
反対に、1ヶ月の合計が9,190円未満だったときは、利用した分だけの請求になります。もし全く利用しなかったら、請求はゼロです。
定期券は、利用してもしなくても値段は変わりません。利用回数が少ないと損しますが、この点、PiTaPa「プレミアム」は経済的です。
ただ、「プレミアム」の上限額をみると、1ヶ月の通勤定期券代と比べて、ちょっとだけ高くなっています。
金額だけみると、定期代の節約にならないように思えますが、先に触れたように、「プレミアム」は利用できるエリアが定期券よりもぐっと広がります。
普段の通勤だけでなく、仕事回りやプライベートなど定期券以外の利用を含めると、全体的としては「プレミアム」の方が得になる場合もありえます。
それに、くどいですが、利用が少ない月の支払いは、乗った分だけなので、定期券よりも安くつきます。
エリア設定をもう少し細かく設定したいときや、費用を抑えたいときは、同じPiTaPaの割引サービスで「マイスタイル」というプランがあります。
定期券のままでも、地下鉄を利用できる範囲を広げられる方法があります。それは、「迂回(うかい)」というもので、やり方によっては、定期代は同じで、通勤以外でも使えるようになります。
割引と請求のしくみ
PiTaPa「プレミアム」では、指定エリア内の利用、つまり「登録駅⇔対象駅」と「対象駅⇔対象駅」の利用を「特定の利用」といいます。
請求の上限額は、毎月の「特定の利用」に対して適用されます。
エリア外の利用は、乗車駅や下車駅が、登録駅や対象駅であっても、「特定の利用」にはなりません。乗車駅から下車駅まで「”特定の利用”以外の利用」としてカウントされます。
そして、毎月の請求金額ですが、その月の「特定の利用」分と「”特定の利用”以外の利用」分、それぞれを合算して決まります。
「特定の利用」「”特定の利用”以外の利用」ともに、1ヶ月分の合計額に対して割引があります(1割引~)。
この点、「”特定の利用”以外の利用」でもメリットがあります。
割引したあとの合計金額が、「特定の利用」が上限額を超えていたら、それ以上の分は帳消しされます。超えていなければ利用した分だけの請求です。
振替輸送は利用できません
PiTaPa「プレミアム」の利用にあたって、頭の片隅に置いておきたい注意点が、「振替輸送」が利用できないということです。
「振替輸送」とは、事故や故障などで地下鉄の区間の一部で運転が見合わせが起きた場合に、無料でJRや私鉄を利用して迂回できるしくみです。
状況や復旧の見込みによって、実施されます。
「振替輸送」を利用できる対象者は決められています。
定期券の利用者は対象ですが、PiTaPa「プレミアム」を含め、ICOCAなどICカードの利用者は入っていません。
このため、PiTaPaで迂回のJRや私鉄に乗るときは、普通に運賃がかかります。もし、地下鉄の別ルートでうまく迂回できれば、「”特定の利用”以外の利用」になります。
※PiTaPaやICOCAと一体になった定期券は「振替輸送」の対象になります。
※ICカードが「振替輸送」の対象外という取り決めは、大阪メトロだけなく、関西のJRと私鉄共通のものです。関東の鉄道でも同様になっています。
大阪地下鉄PiTaPa「プレミアム」の利用や登録方法は?
PiTaPaと利用登録が必要です
繰り返しになりますが、「プレミアム」は、PiTaPaを持っていないと利用できません。PiTaPaが無い人は、先にPiTaPaに入会する必要があります。
PiTaPaは、どんな種類のものでも大丈夫です。他社で定期券と一体化して使っていたり、割引サービスに登録していてもかまいません(ただし、大阪メトロの他のPiTaPa割引サービスとは併用できません)。
また、PiTaPaを持っているだけでは、「プレミアム」は利用できません。事前に「プレミアム」の利用登録する必要があります。
PiTaPaを持っていない人は、まずPiTaPaに入会する必要があります。
ただ、PiTaPaは「ICOCA(イコカ)」などと違って、駅ですぐに買えません。クレジットカードと同じ後払い(ポストペイ)式のICカードなので、入会には審査があります。
PiTaPaの入会については、公式サイトで確認ください。
ちなみに、大阪地下鉄、シティバスでは、「プレミアム」でなくても、PiTaPaで乗車するだけでもお得です。
「登録駅」の決め方がポイント!シミュレーションで確認!
PiTaPa「プレミアム」の利用登録に先立って、先述したように「登録駅」を1か所を決めておく必要があります。
「登録駅」をもとに「対象駅」(=利用できるエリア)が決まりますので、大事な作業です。
例えば、同じ「小エリア」を選んでも、「登録駅」次第で、使い勝手がかなり変わってきますし、かかる交通費にも影響します。
例えば「梅田駅」を「登録駅」にして「小エリア」を選ぶと、「対象駅」はこのようになります。
このシミュレーションだと「対象駅」に「難波駅」がギリギリ入っていないので、ミナミに出かけるときは不便です。
もし「プレミアム」を「梅田駅⇔難波駅」の定期券の代わりで検討していたら、話になりません。
そんなときは、「登録駅」を「本町駅」に設定してみます。すると、「梅田駅」「難波駅」も「対象駅」となり、市街地の中心部はほとんどカバーできます。
そして、上限額も変わりません。
このように、PiTaPa「プレミアム」では「登録駅」を、必ずしも会社や自宅の最寄駅に設定しなくても構いません。
普段、よく利用する駅を「対象駅」として、エリア内に収められるように、「登録駅」を決めることが、「プレミアム」を使いこなして、交通費を節約するポイントです。
「登録駅」と「対象駅」の確認は、大阪メトロの公式サイトでシミュレーションが気軽にできます。「プレミアム」を検討中でしたら試してみてください(下方にリンクがあります)。
ちなみに、「登録駅」や「エリア」広さの変更は、月単位で可能です。手数料もかかりません(インターネットで簡単です)。
利用登録の方法は2つ
「登録駅」が決まったら、PiTaPa「プレミアム」の利用登録をしましょう。その方法には、次の2つがあります。
地下鉄の定期券発売所で
1つ目の方法は、地下鉄の定期券発売所での手続きです。窓口で「登録申込書」を記入して、PiTaPaと一緒に提出するだけで済みます。
地下鉄定期券発売所 | 梅田、東梅田、難波、天王寺、谷町九丁目、玉出、堺筋本町、京橋、なかもず、平野、弁天町 大正、太子橋今市、ポートタウン東 |
※営業時間や休業日は、定期券発売所によって違いますので、手続きに出向くときは注意してください。大阪メトロの公式サイト(下方にリンクがあります)で確認できます。
※定期券の場合、発売所がある駅までの電車代が無料になる制度がありますが、PiTaPaの登録目的のときは対象外です。普通に運賃がかかります。
インターネットで
2つ目の方法は、PiTaPa公式サイトの「PiTaPa倶楽部」での手続きです。
パソコンやスマホから24時間いつでもアクセスできて便利です。操作自体も簡単で2~3分で完了します。
割引の適用がスタートするタイミングと期間は?
PiTaPa「プレミアム」の利用登録を済ませて、実際に割引の適用がスタートになるタイミングは次のようになります。
利用登録の完了日 | 「プレミアム」が適用されるタイミング |
毎月1日~15日なら | 登録の当月分から、あるいは翌月分から【選べます】 |
毎月16日~末日なら | 登録の翌月分から |
例えば、5月15日に利用登録が完了したら、5月スタートあるいは6月スタートが選べます。5月からにすると、その日以降の地下鉄代から割引が受けられます。
また、「プレミアム」の利用期間は、登録の際に1ヶ月単位で12カ月先まで、あるいは「無期限」で設定できます。
「無期限」にしておくと、あなたが取り消しの手続きをするまで継続します。特に「プレミアム」には月々かかる費用はありませんので、「無期限」にしておいて不都合はないと思います。
もちろん、登録した期間の途中でも、月単位で取り消し(解約)できます(定期券発売所、インターネット)。
違約金などはありません。
取り消しの手続日 | 「プレミアム」利用終了のタイミング |
毎月1日~15日なら | 前月末で割引の適用が終了 |
毎月16日~末日なら | 当月末で割引の適用が終了 |
ちなみに、設定した利用期間が終了した後は、「フリースタイル」という1ヶ月間の利用額に応じた割引サービスが自動的に適用されます。
PiTaPaで地下鉄に乗ると、いつでも運賃が1割引きになります。
「プレミアム」を再開したいときは、再登録すれば大丈夫です。
PiTaPa「プレミアム」公式サイト(シミュレーションも)
大阪地下鉄のPiTaPaを使った割引サービス「プレミアム」の最新情報は、大阪メトロの公式サイトで確認ください。エリア設定のシミュレーションもできます。
PiTaPaを「OSAKAポイント」の会員登録(無料)しておくと、1ヶ月分の運賃の0.5~1%のポイントが付きます。貯まったポイントは毎月の請求に還元できるので、さらにお得です。
大阪地下鉄のPiTaPa「プレミアム」は、指定のエリア内が1ヶ月乗り放題で、請求額は上限付きという割引サービスです。地下鉄の利用状況によっては、定期券よりも便利で安くなります。
ただ、請求の上限額が1ヶ月の定期代よりも少し高い点が気になる人も多いと思います。そんな人には、「マイスタイル」という同じPiTaPaを使った割引サービスもチェックしてみてください。
こちらも上限額が設定されていますが、定期券よりも安い設定になっています。ただ、「プレミアム」とは「特定の利用」のカウントの仕方などしくみが違います。
どちらもシミュレーションできますので、比べてみることをおすすめします。
【参考】「プレミアム」と「マイスタイル」の違い
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