
こんな疑問にお答えします。
【この記事の内容】
- 大阪メトロの「マイスタイル」とは?
- 「マイスタイル」のメリット・デメリット
- 定期券と「マイスタイル」との違い
- 「マイスタイル」の登録・利用方法
通勤や通学で、頻繁に電車やバスを利用する場合、交通費を節約する方法は「定期券」の利用が定番。
大阪地下鉄(メトロ)や大阪シティバスには、さらに「マイスタイル」という独自の割引サービスがあります。
駅や車内など、あちこちで宣伝しているので、「マイスタイル」という名前くらいは見たことはあるかもしれません。
ICカードのPiTaPa(ピタパ)を使った運賃割引のしくみなのですが、内容はよく知らないという人も多いと思います。事実、案内を読んでも分かりにくいです。
でも、この「マイスタイル」は、あなたの地下鉄やバスの利用状況によっては、定期券よりも安く便利になりますので、知っておいて損はありません。
そこで、ここでは「マイスタイル」の内容としくみ、登録方法を、できるだけ分かりやすく解説していきます。
通勤通学の交通費を安くしたい人、定期券と「マイスタイル」どちらにしようかと迷っている人、、参考にしてください。

目次
大阪地下鉄の「マイスタイル」とは?
PiTaPaを使った運賃の割引サービスです。
「マイスタイル」とは、大阪地下鉄(メトロ)と大阪シティバスが独自に実施している運賃の割引サービスです。
「地下鉄プラン」「バスプラン」「地下鉄・バスプラン」、そして「子供用」「学生用(学割)」が用意されています。
あなたが、ひと月の内に地下鉄やシティバスを、定期券を買うかどうか悩むぐらいの回数を利用している場合、「マイスタイル」は特にメリットがあります。
「マイスタイル」を利用するには、まず、ICカードの「PiTaPa(ピタパ)」が必要です。「マイスタイル」は、PiTaPaの利用者向けのサービスになります。
PiTaPaは、どんな種類のものでも使えます。他社でPiTaPa定期券として使っていたり、区間指定割引などに登録していても大丈夫です。
PiTaPaを持ったうえで、「マイスタイル」の利用登録を行います。
※「マイスタイル」以外の大阪地下鉄(メトロ)やシティバスのPiTaPa割引サービスを登録しているPiTaPaは使えません。
PiTaPaを持っていない人は、PiTaPaに入会してください。
PiTaPaは、ICOCA(イコカ)など他の交通系ICカードと違って、クレジットカードと同じ後払い(ポストペイ)方式のカードです。誰でもすぐに作れるものではありません。入会には審査があります。
定期券より利用できる範囲が広がります。
定期券と比べて、「マイスタイル」は利用できる範囲が広がる点が1つのメリットです。
まず「マイスタイル」のしくみをみてみましょう。
「マイスタイル」を利用するにあたっては、最初に「登録駅」2か所を選びます。
登録駅は自由に決められます。
とりあえずは、定期券を買うのと同じように、いつも乗り降りする自宅や会社、学校の最寄駅にしておくといいです(学割の場合は自宅と学校の最寄駅しか選べません)。
登録駅を決めると自動的に「対象駅」が設定されます(自分で選べません)。
運賃が高い区間ほど「対象駅」の数が多くなります。
定期券は「登録駅」同士の間の利用ですが、「マイスタイル」では、それに加えて、「登録駅」と「対象駅」との間も利用できます。
この点が定期券と違うところです。

以下、具体例をを挙げてみました。
図の赤枠の駅が「登録駅」、緑枠の駅が「対象駅」です。
【例1】登録駅を「梅田駅」と「難波駅」とした場合(運賃230円)
「梅田駅⇔難波駅」の定期券では、その区間しか利用できません。が、「マイスタイル」ではご覧のように対象駅が広い範囲で設定されますので、通勤や通学以外でも使える機会が増えます。
ただ、「マイスタイル」では「対象駅⇔対象駅」の利用はできません。必ず「登録駅」のどちらか1か所をかまさなないといけません。
また、「梅田駅⇔難波駅」の定期券だと、指定の経路上でしたら、梅田駅と難波駅の間にある駅なら、どの駅からも乗れて、どの駅でも降りることができます。つまり、乗り降り自由の乗り放題です。
例えば、心斎橋駅から乗って淀屋橋駅で降りるという使い方ができますが、「マイスタイル」ではできません。
ちなみに、定期券では利用できる経路(ルート)が指定されています(○○駅経由と記載されています)が、「マイスタイル」では経路は自由。目的の駅までは好きなルートで行くことができます。
【例2】登録駅を「梅田駅」と「本町駅」とした場合(運賃180円)
この例のように、地下鉄の初乗り運賃(180円)の区間の場合は、それほど利用範囲は広がりません。それでも定期券よりは広くなります。
【例3】登録駅を「大阪港駅」と「難波駅」とした場合(運賃280円)
この例の場合も、定期券に比べて利用範囲がぐっと広がります。
定期券では通常含まれてない梅田や新大阪、天王寺、京橋もカバーしているので、かなり便利になります。
【例4】登録駅を「天神橋筋六丁目駅」と「日本橋駅」とした場合(運賃230円)
阪急電車の沿線から「天神橋筋六丁目駅」をまたいで地下鉄を利用する場合は、この例のように登録駅の1つを「天神橋筋六丁目駅」に設定することで、「マイスタイル」を利用できます。
定期券では通常含まれない梅田や難波をはじめ広い範囲をカバーできます。
阪急電車のほか、地下鉄と直通している北大阪急行(江坂駅~千里中央駅)、近鉄けいはんな線(長田駅~生駒駅~学研登美ヶ丘駅)の場合も、登録駅の1つをそれぞれの境界駅「江坂駅」、「長田駅」に設定します。
そうしておくと、途中下車しなくても、自動的に地下鉄線内で「マイスタイル」が適用されます。
また、「マイスタイル」は、例えば阪急電車のPiTaPa定期券に追加で登録することもできます。このとき阪急電車の定期券は「天神橋筋六丁目駅」までの区間を購入してください。
請求は1ヶ月単位で定期券よりも安い(割引のしくみ)
「マイスタイル」は、定期券より費用の面ではお得です。
「特定の利用」分の運賃に割引&上限額が
「マイスタイル」で「登録駅⇔登録駅」と「登録駅⇔対象駅」を乗車することを「特定の利用」といいます。
「対象駅⇔対象駅」は「特定の利用」ではありません。
「マイスタイル」では、毎月1日から末日までの「特定の利用」した運賃の合計に1割引(学割は2割引)を実施します。
これが支払い金額(請求額)になりますが、上限が設定されています。
上限額は、6カ月定期券の6分の1の金額(1ヶ月分相当)です。
「特定の利用」でしたら、何回乗っても、この上限額以上は請求されません。
逆に、上限を超えなかったときは、乗った分だけの請求になります。
乗っても乗らなくても値段が一律の定期券とは、大きく違います。
【マイスタイル上限額の例(大人)】
1カ月通勤定期券の値段 | マイスタイルの上限額 | |
地下鉄180円区間(1区) | 7,550円 | 6,800円 |
地下鉄230円区間(2区) | 9,100円 | 8,190円 |
地下鉄280円区間(3区) | 10,650円 | 9,590円 |
地下鉄330円区間(4区) | 11,450円 | 10,310円 |
地下鉄380円区間(5区) | 12,390円 | 11,160円 |
地下鉄2区・バス全線連絡 | 13,580円 | 12,220円 |
バス全線 | 9,000円 | 8,100円 |
例えば、梅田駅~難波駅など230円(2区)の区間を登録駅に選んだ場合、1か月間に地下鉄に何回乗っても「特定の利用」の分は、8,190円以上の請求はありません。
金額も1ヶ月定期代よりも安いです。
逆に、8,190円も乗らなかった月は、乗った分だけの請求です。もし1ヶ月間に、1回も乗らなければ、請求はありません。
このように、1ヶ月定期を買うかどうか損得を悩むのであれば、「マイスタイル」にしとけば損はありません。
「特定の利用」以外にも割引が
「マイスタイル」では、「特定の利用」以外の利用の運賃についても、1割引(学割は2割引)になります。
「マイスタイル」の毎月の支払い金額(請求額)をまとめると、このようになります。
実際の支払いは、月ごとにPiTaPaに届け出している金融機関口座から引き落としになります。
登録や更新に窓口へ行かなくてもOK。
「マイスタイル」の利用登録や更新、内容の変更は、いつでもインターネット上で可能です(後述します)。
定期券のように、購入や更新のたびに定期券発売所へ出向く必要はありません。
※インターネットを使えない場合は、地下鉄の定期券発売所でも、PiTaPaを持参すれば手続きできます。
「マイスタイル」の注意点
大阪地下鉄のPiTaPa「マイスタイル」には、次のような注意点もあります。細かい部分ですが、利用にあたっては確認しておきましょう。
「乗り越し」できません。
定期券と「マイスタイル」では、登録区間を乗り越した場合の取扱いが違います。
定期券では、乗り越した区間の運賃を精算して追加で支払えばいいだけです。
「マイスタイル」の場合は、乗車した駅から(登録駅でも対象駅でもない)下車駅までの運賃がまるまるかかります。
【A駅~C駅の定期券/マイスタイルで、C駅⇒D駅を乗り越した場合】
この場合、定期券だと、C駅⇒D駅の運賃を「乗り越し精算」することになりますが、「マイスタイル」は、A駅⇒D駅の通しの運賃がかかります。
途中のA駅⇒C駅の間も「特定の利用」とはなりません。A駅⇒D駅の乗車で「特定の利用」以外の利用にカウントされます。
なお、請求の際には、先触れたように割引が付きます。
「振替輸送」の対象にはなりません。
地下鉄が事故や故障などで運転見合わせになったとき、状況によってはJRや私鉄に「振替輸送」が行われることがあります。
定期券の場合は、手持ちの地下鉄定期券のまま、無料でJRや私鉄の振り替え区間を乗ることができます。
PiTaPa「マイスタイル」の場合は「振替輸送」が受けらません。JRや私鉄を利用する際は、通常運賃の支払いが必要になります。
この振り替え輸送の対象外は、「マイスタイル」に限ったことではなく、PiTaPaやICOCAなどICカードを利用する場合は全て同じ取扱いになります。
※PiTaPa定期券やICOCA定期券は、振替輸送を利用できます。
「マイスタイル」の登録は?いつから使える?
すでにPiTaPaを持っていて、「マイスタイル」を使ってみよう!となったときは、先に触れたように、利用登録が必要です。
登録料や利用料など費用は一切かかりません。
なので、今すぐ使う予定がなくても登録だけしておいて、デメリットはありません。
デメリットどころか、もし、PiTaPaで大阪地下鉄やバスに乗ることがあれば、運賃が1割引になります。
利用登録の方法
利用登録は大阪地下鉄の定期券発売所か、インターネットのPiTaPaサイトで行えます。
ただ、学生さんで「マイスタイル」を学割で使いたいときは定期券発売所でしか手続きできません。
大阪メトロの定期券発売所で
「マイスタイル」の利用登録(変更も)は、下記の地下鉄定期券発売所で手続きできます。窓口で「登録申込書」を記入して、手持ちのPiTaPaと一緒に提出するだけです。
※学割を利用する時は「通学証明書」も必要です(手続きは通学定期券を買うのと同じ)。
※営業時間、休業日は大阪メトロの公式サイト(下方にリンクがあります)で確認ください。梅田駅、難波駅、天王寺駅は年中無休です。
※定期券のような定期券発売所のある駅までの電車代が無料になる制度はありません。
インターネットの「PiTaPa倶楽部」で
インターネットでの利用登録(変更)は、PiTaPa会員サイト「PiTaPa倶楽部」で、24時間いつでもできます。
手続き自体は簡単です。すでに「マイスタイル」の内容が分かっていれば3分ほどで完了します。
※繰り返しになりますが、インターネットでは学割用の手続きはできません。
※PiTaPaに新しく入会した人は、「PiTaPa倶楽部」への新規登録も行ってください。毎月の請求額や利用明細なども確認できます。
利用開始のタイミング
「マイスタイル」の利用登録が完了したあと、実際に割引の適用がスタートするタイミングは表のようになります。
登録内容の変更や解約の適用タイミングも基本同じです。
登録完了日 | マイスタイルの適用開始日 |
1日~15日 | 登録した当月分から、または翌月分から。⇒選べます。 |
16日~末日 | 登録した月の翌月分から |
定期券を有効期間中に解約(払い戻し)すると、計算方法や手数料の関係で損なので、「マイスタイル」への変更は、今の定期券が切れてからにした方がいいです。
ただ、「マイスタイル」の利用登録は、定期券に関係なくやっておいてデメリットはありません。定期券区間外でPiTaPaを利用すれば割引が付きます。
「マイスタイル」の実際の使い方は、定期券やICカードと同じように、出入りの際に改札機にPiTaPaをタッチするだけです。
自動的に「特定の利用」「特定の利用以外」を判別して集計されていきます。
利用期間の設定
「マイスタイル」を利用登録する際に、その適用期間を設定します。1ヶ月単位(最大12ヶ月)の設定と「無期限」を選べます。
期間を設定しておくと、その時期がくれば自動的に「マイスタイル」の適用が終了します。再開したいときは、利用登録をすることで使えます。
「無期限」としていると、自分から取り消ししない限りずっと適用が続きます。
繰り返しになりますが、「マイスタイル」は登録しておいても、費用の発生などデメリットはありませんので、特に不都合などなければ「無期限」にしておくと良いです。
※学割の「マイスタイル」の場合は、無期限はなく1ヶ月単位のみでしか設定できません。そして毎年3月末で自動的に適用が終了します。4月以降再開したいときは利用登録が必要になります。
公式サイトで「マイスタイル」のシミュレーションを!
大阪地下鉄(メトロ)、大阪シティバスで定期券を買う場合は、とりあえず「マイスタイル」のシミュレーションをして比べてみましょう。
パソコンやスマホから公式サイトにアクセスすれば、すぐにできます。
シミュレーションのページで、登録駅を2か所入力すると、利用できる範囲(対象駅)がすぐに表示されます。
上で紹介した例のように、定期券だと自宅と会社の最寄駅の経路に、梅田や難波などが含まれていない「しょぼい」区間でも、「マイスタイル」することで含まれることがあったりしますよ。
「マイスタイル」の最新情報の確認と合わせて、シミュレーションを試してみてください。
まとめ:【定期券とPiTaPa「マイスタイル」の違い】
定期券 | マイスタイル | |
必要なカード | 磁気式なら特になし。ICOCA定期はICOCAが必要。 | PiTaPa |
利用できる範囲 (登録駅はA駅とB駅) |
A駅⇔B駅の間なら、どの駅でも乗り降り自由。 | A駅⇔B駅のほか、A駅/B駅⇔対象駅が利用できます。対象駅⇔対象駅は不可。必ずA駅、B駅のどちらかて乗降。 |
利用できる経路 | 指定された経路のみ ※迂回ルートの設定はOK |
経路は自由 |
値段 (地下鉄230円区間の場合) |
1ヶ月9,100円 3ヶ月25,940円 6ヶ月49,140円 |
1ヶ月最大8,190円 (地下鉄プラン) |
料金の仕組み | 乗っても乗らなくても一律。 | 最高でも6ヶ月定期券の6分の1が上限。これ以下の場合は使った分だけ(さらに割引あり)。 |
購入・登録・更新場所 | 駅の発売所に出向く | インターネットOK (学割は不可) |
乗り越し精算 (A駅⇔B駅区間を越えて乗車した場合) |
定期券区間を越えた部分の運賃がかかります | 乗車したA駅から下車駅までの通し運賃がかかります。 |
振替輸送 | 利用できます(対象) | 利用できません(対象外) |
PiTaPa割引サービスには「プレミアム」というものもあります。地下鉄利用のみ対象で「マイスタイル」よりも上限額が高くなりますが、利用できる範囲(「特定の利用」の対象)が広がります。

定期券と「マイスタイル」を選ぶ際、値段的には「マイスタイル」の方が、1ヶ月や3ヶ月の定期券を買うより安いです。
使った分だけの請求なので、ゴールデンウィークやお盆、年末年始など出勤日が少ない月は特にお得な場合が多いです。会社から支給される定期代との差益が期待できます。
値段以外では、地下鉄やバスの利用の仕方がポイントになっていきます。「マイスタイル」は利用範囲が広がりますが、登録駅でかならず乗り降りする必要があります。
通勤通学だけでなく、例えば通院や習い事、休日の利用などプライベートを含めた1ヶ月の利用状況をふまえて、交通費の節約効果を検討してみてください。
くどいですが、PiTaPaを持っているなら、「特定」でも「特定以外」でも、地下鉄やシティバスを乗れば運賃がなんせ割引になりますので、利用頻度にかかわらず「マイスタイル」に登録しておいて損や不都合はありません。