大阪、京都から電車で奈良観光に、交通費を少しでも節約して出かけたいあなたは、近鉄電車の「奈良世界遺産フリーきっぷ」は要チェックです。
奈良では、近鉄電車に加えて路線バスも乗り放題で値段も格安です。2日用、3日用もあるので、特に泊まりがけのときはおすすめです。
ここでは、この「奈良世界遺産フリーきっぷ」の種類と内容、値段、購入方法をまとめてみました。
目次
「奈良世界遺産フリーきっぷ」ってどんな切符?
奈良の行き先によって、次の2種類が発売されています。
奈良で近鉄とバス(一部)が乗り放題!
「奈良世界遺産フリーきっぷ」は、大阪や京都から奈良まで近鉄電車の往復乗車券と、奈良での近鉄電車と路線バス(奈良交通)の乗り放題がセットになった観光用の周遊切符です。
奈良の行き先によって、次の2種類が発売されています。
- 「奈良・斑鳩コース」(奈良市内、法隆寺がある斑鳩地区へ)
- 「奈良・斑鳩・吉野コース」(飛鳥や吉野、室生寺へも)
「奈良、斑鳩コース」「奈良・斑鳩・吉野コース」それぞれの利用できる区間(範囲)は下図の通りです。
奈良・斑鳩コース(黄色枠以外の区間)
- 近鉄電車の「大阪難波駅・日本橋駅・上本町駅・鶴橋駅~学園前駅」または「京都駅~平城駅」の往復(途中下車できません)。
- 近鉄電車の「学園前駅~近鉄奈良駅、平城駅~筒井駅」が乗り放題(乗り降り自由)。
- 奈良交通バスの奈良・西の京、斑鳩(法隆寺)地区の路線が乗り放題(乗り降り自由)。
※大阪阿部野駅からは利用できません。
奈良・斑鳩・吉野コース(黄色枠を含んだ区間)
- 近鉄電車の「難波駅・日本橋駅・上本町駅・鶴橋駅・阿部野橋駅~学園前駅」または「京都駅~平城駅」の往復(途中下車できません)。
- 近鉄電車の「学園前駅~近鉄奈良駅、平城駅~橿原神宮前駅、平端駅~天理駅、大和八木駅~室生口大野駅、当麻寺駅~吉野駅、尺土駅~膳所駅」が乗り放題(乗り降り自由)。
- 奈良交通バスの奈良・西の京、斑鳩(法隆寺)、飛鳥(明日香)、室生寺地区の路線が乗り放題(乗り降り自由)。
泊りがけの旅行にも使えます!
「奈良世界遺産フリーきっぷ」には2日用、3日用があるので、日帰りだけでなく泊りがけの旅行にも使える点が大きな特徴です。
種類 | 有効期間 |
奈良・斑鳩コース | 1日用⇒1日間、2日用⇒連続した2日間 |
奈良・斑鳩・吉野コース | 連続した3日間 |
拝観料などの割引特典つき!
「奈良世界遺産フリーきっぷ」には、提携の社寺や観光施設などで拝観料や入館料などの割引が受けられる優待特典がついています。
【優待が受けられる主な場所】
- 春日大社(国宝殿、萬葉植物園)
- 元興寺
- 大安寺
- 大和文華館
- 安倍文珠院
- 飛鳥資料館
- 万葉文化館
- 岡寺
- 橘寺
- 壷阪寺
- 長谷寺
- 室生寺
- 談山神社
- 金峯山寺蔵王堂
- 吉水神社
- 竹林院
- 如意輪寺
- ナコーレンタサイクル など
※緑字は「奈良・斑鳩・吉野コース」のみの優待場所です。
※順不同
「奈良世界遺産フリーきっぷ」の値段は?
以上のような内容の「奈良世界遺産フリーきっぷ」の値段は、次の通りとなっています。
種類 | 出発駅 | 大人 | 子供 | |
奈良・斑鳩コース | 1日用 | 大阪難波駅~鶴橋駅・京都駅 | 1,530円 | 770円 |
2日用 | 大阪難波駅~鶴橋駅・京都駅 | 2,030円 | 1,020円 | |
奈良・斑鳩・吉野コース | 難波駅~鶴橋駅・阿部野橋駅・京都駅 | 3,050円 | 1,530円 |
※「奈良世界遺産フリーきっぷ」は「出発駅」が上記の駅に限定されています。それ以外の駅からでも利用できますが、路線によっては最寄りの出発駅までの運賃が別に必要になります。
「奈良世界遺産フリーきっぷ」はお得?
「奈良世界遺産フリーきっぷ」は結論としてはお得です。
参考までに、近鉄電車やバスの主な区間の通常の運賃はこのようになっています。
【参考】近鉄の主な区間の普通運賃の例(片道)
初乗り運賃(最短区間) | 160円 |
大阪難波駅~奈良駅 | 570円 |
京都駅~奈良駅 | 640円 |
大阪難波駅~橿原神宮前駅 | 700円 |
大阪難波駅~室生口大野駅 | 900円 |
京都駅~橿原神宮前駅 | 900円 |
京都駅~吉野駅 | 1,250円 |
大阪阿部野橋駅~吉野駅 | 990円 |
奈良駅~西ノ京駅 | 260円 |
奈良駅~筒井駅 | 300円 |
奈良駅~橿原神宮前駅 | 500円 |
奈良駅~室生口大野駅 | 770円 |
例えば、大阪難波駅から近鉄奈良駅までの通常の運賃は往復で1,140円、京都駅からは往復1,280円です。橿原神宮前駅までだと、大阪難波駅から往復1,400円、京都駅から1,800円です。往復だけでも、けっこう電車代がかかります。
「奈良世界遺産フリーきっぷ」の値段からこれらを差し引いた残りが、奈良での電車とバスの乗り放題分ということになりますが、1日に数回乗り降りすると、元が取れてお得になります。
奈良交通の路線バスは距離制の運賃です。ちょっと長い距離を普通に乗ると、意外と高くつきます。
【参考】奈良交通バスの主な区間の普通運賃(片道)の例と乗り放題切符
近鉄奈良駅~東大寺・春日大社 | 220円 |
近鉄奈良駅~薬師寺・唐招提寺 | 270円 |
近鉄奈良駅~平城宮跡 | 250円 |
近鉄奈良駅~法隆寺 | 770円 |
筒井駅~法隆寺 | 310円 |
桜井駅~三輪明神 | 190円 |
桜井駅~談山神社 | 500円 |
橿原神宮前駅~石舞台 | 380円 |
室生口大野駅~室生寺 | 440円 |
壺阪山駅~壺阪寺 | 330円 |
(乗り放題切符)奈良公園・西の京1デイパス | 500円 |
(乗り放題切符)奈良公園・西の京・法隆寺1デイパス | 1,000円 |
(乗り放題切符)奈良・大和路2デイパス | 1,500円 |
奈良世界遺産フリーきっぷ「奈良・斑鳩コース(1日用、2日用)」のバス乗り放題区間は、奈良交通の乗り放題切符「奈良公園・西の京・法隆寺1デイパス」(1,000円)と、「奈良・斑鳩・吉野コース」では「奈良・大和路2デイパス」(1,500円)と全く同じです。
「奈良公園・西の京・法隆寺1デイパス」は1日券なので、2日分を買ったとすると、これだけで「奈良・斑鳩2日コース(2,030円)」の元がほぼとれます。電車代は実質無料です。
「奈良世界遺産フリーきっぷ」は、バスだけでなく近鉄電車も乗り放題なので、行き先や状況によって臨機応変に使い分けできます。旅行中にいちいち切符を買ったり、運賃を気にする煩わしさから解放されるメリットも大きいです。
奈良へ「日帰り」する場合は、こんな切符も要チェック!
奈良へ日帰りで出かけるときは、「奈良世界遺産フリーきっぷ」と合わせて、「奈良・斑鳩1dayチケット」という切符をチェックしてみてください。
「奈良・斑鳩1dayチケット」は、奈良の近鉄とバスに加えて、大阪、京都、神戸、姫路、和歌山方面からの電車代も込みの乗り放題切符(1日乗車券)で、出発地によっては、かなりお得です。
例えば、大阪地下鉄(メトロ)版は1,650円です。「奈良・斑鳩コース(1日用)」と120円しか変わりませんが、大阪の地下鉄とシティバスも乗り放題です。地下鉄に乗って近鉄の難波駅などへアクセスするのであれば、「奈良・斑鳩1dayチケット」の方が安くなります。
※泊りがけのときは「奈良世界遺産フリーきっぷ」が最安です。
「奈良世界遺産フリーきっぷ」の発売期間と有効期間
発売期間(買える期間)
「奈良世界遺産フリーきっぷ」は1年を通じて発売されています。奈良に行く時はいつでも買えます。
有効期間(使える期間)
「奈良世界遺産フリーきっぷ」の有効期間は、繰り返しになりますが、「奈良・斑鳩コース」の1日用は利用する当日その1日間、2日用は利用当日とその翌日の2日間、そして「奈良・斑鳩・吉野コース」は利用当日から連続した3日間有効です。
※「1日」はその日の始発便から最終便までを指します。
「奈良世界遺産フリーきっぷ」はどこで買える?(購入方法)
「奈良世界遺産フリーきっぷ」は、近鉄電車の下記の駅で、乗車日(利用日)の1ヶ月前から出発当日まで買うことができます。
買うときに、利用日(出かける日)を指定します(切符にその日付が入ります)。
大阪府 | 大阪難波駅、上本町駅、鶴橋駅、布施駅、八戸ノ里駅、東花園駅、瓢箪山駅、八尾駅、大阪阿部野橋駅、藤井寺駅、古市駅 |
京都府 | 京都駅、丹波橋駅、大久保駅、新田辺駅 |
奈良県 | 奈良駅、西大寺駅、学園前駅、生駒駅、高の原駅、天理駅、王寺駅、大和高田駅、大和八木駅、榛原駅、高田市駅、橿原神宮前駅、飛鳥駅、下市口駅、大和上市駅、吉野神宮駅、吉野駅 |
三重県 | 名張駅、伊賀神戸駅、伊勢中川駅、桑名駅、富田駅、四日市駅、湯の山温泉駅、伊勢若松駅、白子駅、津駅、松阪駅、伊勢市駅、宇治山田駅、五十鈴川駅、鳥羽駅、志摩磯部駅、鵜方駅、賢島駅 |
愛知県 | 名古屋駅、蟹江駅 |
※駅によっては発売時間が極端に短かったり、朝や夕方に偏っていたりしますので、あらかじめ公式サイトなどで確認ください。発売時間外は、駅員さんがいても売ってくれません(担当外のため)。
このほか、旅行会社のJTB、日本旅行、近畿日本ツーリストの営業所でも買えます。ただし、旅行会社で購入すると「旅行取扱料金」(手数料)をとらることがあります(1,000円程度)。購入するときは確認してください。
※「奈良世界遺産フリーきっぷ」を購入した後で行けなくなった場合などの払い戻しは、有効期間内で未使用の場合に限り、発売駅で対応してもらえます(手数料160円がかかります)。
「奈良世界遺産フリーきっぷ」公式サイト
「奈良世界遺産フリーきっぷ」の最新情報については、近鉄電車の公式サイトで確認ください。
大阪、京都から奈良へ、特に泊りがけで、市内はもちろん、斑鳩や飛鳥、吉野の方まで足をのばしてじっくり、ゆっくりと巡ってみたいというときは、「奈良世界遺産フリーきっぷ」が本領を発揮します。利用する当日でも買えますので、出かけるときは検討してみてください。
それから、インターネット予約した新幹線やJR特急で大阪、京都、奈良へ来る人への耳寄り情報ですが、JRで発売している「奈良満喫フリーきっぷ」という期間限定切符がめちゃお得です。JRと近鉄、奈良交通バスが3日間乗り放題で3,200円という破格ぶりです!
【「奈良満喫フリーきっぷ」紹介ページ】
【参考】奈良の電車・バスのお得な切符まとめ