
こんな疑問にお答えします。
【この記事の内容】
- JR西日本の回数券「特定区間」とは?
- 回数券の「特定区間」一覧
- 「特定区間」回数券のお得な使い方。
普段、JRに乗るのに、回数券を使っている人は多いと思います。
回数券は、手っ取り早い電車代の節約方法で、僕も愛用しています。
JRの回数券は、新幹線や特急用を別にすると、10回分の運賃で11回乗れる「普通回数券」というものです。
1回分がタダになるので、値段に関係なく、お得感があります。
でも、関西の一部には、同じ普通回数券ですが、2回分がタダになる、つまり、9回分の運賃で11回乗れるという「特定区間」が存在するんです!
例えば、「大阪駅~京都駅」は、その「特定区間」になっています。
この区間の運賃は570円です。回数券の値段は、11回分で10回分の5,700円と思いきや、実際は9回分の5,130円で発売されています。
こうしたJRの普通回数券「特定区間」は、地元の人以外にはほとんど知られていません。”知る人ぞ知る”っという感じです。
JRでも積極的に案内していないので、ここでは「特定区間」の回数券について、買い方や対象の区間、お得な使い方を紹介していきます。

JR西日本の普通回数券は、全線で発売終了しました(2022年9月30日)。
関西JR「特定区間」の回数券とは?
JR西日本の回数券は、10回分の片道運賃で11回乗れるというものです。それが、関西の「特定区間」(後述します)では、9回分で発売されています。
【普通回数券(11回分)】の値段・割引率
区間 | 値段(発売額) | 割引率 |
一般 | 片道の普通運賃×10回分(1回分タダ) | 9.1% |
特定 | 片道の普通運賃×9回分(2回分タダ) | 18.3% |
このように、「特定区間」の回数券は、割引率18%とめちゃ得です。1回分違えば、だいぶ違うもんですね。
ちなみに、お得な回数券として、多くの私鉄や地下鉄で発売されている「時差回数券」(利用時間を平日10時~16時と土休日の終日に限定)の割引率は16.7%です。
JR「特定区間」の普通回数券は、買い方も使い方も、一般のものと全く同じです。
買うときは普通に駅の窓口や券売機で。買おうとする回数券の区間が「特定区間」なら、自動的に9回分の値段で請求されます。
「特定区間」のことを知らないで買うと、思ったより値段が安くて、「?」と戸惑うかもしれません。
ここで、JRに普通回数券の買い方や使い方など基本的なことについて、確認しておきましょう。
【JR西日本の普通回数券】基本情報
形態 |
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方式 |
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買い方 (購入方法) |
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使い方 |
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有効期間 |
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払い戻し |
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払い戻し額(返金額)=回数券発売額-(使用済み枚数×普通運賃)-手数料220円 |
そもそも回数券ってどんなものかを、よく分かっていないというあなたは、こちらの記事を参考ください。
普通回数券の「特定区間」ってどこ?(全79区間一覧)
次に、JRの回数券が得な「特定区間」がどこなのか、ということですが、京阪神地区のJR京都線、JR神戸線、JR東西線の79区間となっています。
JR西日本では、下記の区間を含め、全線で普通回数券の発売を終了しました(2022年9月30日)。
京都~大阪 | 京都~新大阪 | 京都~東淀川 | 京都~吹田 |
京都~岸辺 | 京都~千里丘 | 西大路~大阪 | 西大路~新大阪 |
西大路~東淀川 | 西大路~吹田 | 西大路~岸辺 | 桂川~大阪 |
桂川~新大阪 | 桂川~東淀川 | 向日町~大阪 | 向日町~新大阪 |
向日町~東淀川 | 長岡京~大阪 | 大阪~神戸 | 大阪~元町 |
大阪~三ノ宮 | 大阪~灘 | 大阪~摩耶 | 大阪~六甲道 |
大阪~住吉 | 大阪~摂津本山 | 大阪~甲南山手 | 塚本~神戸 |
塚本~元町 | 塚本~三ノ宮 | 塚本~灘 | 塚本~摩耶 |
塚本~六甲道 | 塚本~住吉 | 尼崎~神戸 | 尼崎~元町 |
尼崎~三ノ宮 | 尼崎~灘 | 立花~神戸 | 立花~元町 |
甲子園口~神戸 | 甲南山手~北新地 | 甲南山手~新福島 | 摂津本山~北新地 |
摂津本山~新福島 | 摂津本山~海老江 | 住吉~北新地 | 住吉~新福島 |
住吉~海老江 | 六甲道~北新地 | 六甲道~新福島 | 六甲道~海老江 |
六甲道~御幣島 | 六甲道~加島 | 摩耶~北新地 | 摩耶~新福島 |
摩耶~海老江 | 摩耶~御幣島 | 摩耶~加島 | 灘~北新地 |
灘~新福島 | 灘~海老江 | 灘~御幣島 | 灘~加島 |
三ノ宮~北新地 | 三ノ宮~新福島 | 三ノ宮~海老江 | 三ノ宮~御幣島 |
三ノ宮~加島 | 元町~北新地 | 元町~新福島 | 元町~海老江 |
元町~御幣島 | 元町~加島 | 神戸~北新地 | 神戸~新福島 |
神戸~海老江 | 神戸~御幣島 | 神戸~加島 |
見ての通り、「特定区間」の設定に、法則みたいなものはありません。
私鉄との競合を意識した区間だと言われていますが、そうでもなさそうなところもあって、よくわかりません。
いずれにしても、上記の区間の普通回数券は、片道の普通運賃の9倍の値段で買えます。
JR西日本「特定区間」回数券のお得な使い方ヒント
以上のように、普通回数券の特定区間は限られています。
あなたが普段利用している区間が、そうだとラッキー。そうでない場合でも、「特定区間」の回数券を併用すれば、メリットを受けられることがあります。
特定区間ではない普通回数券との合わせ技
目的の駅まで、「特定区間」とそうでない区間の普通回数券を2枚、一緒に使うことで、通しの普通回数券よりも、25%前後安くなります。
回数券を2か所で買う必要がありますが、実際に使うときは、下車する駅で2枚の回数券を一緒に改札機を通すだけなので、手間はありません。
いくつか例を挙げてみました。
ちなみに、街中の金券ショップでは、この方式で回数券をバラ売りしています。
(例)大津駅~大阪駅の場合
特定区間ではない「大津駅~大阪駅」の回数券を買うときは、通しではなく、「大津駅~京都駅」と特定区間の「大阪駅~京都駅」を分けて買います。
そうすることで、全体で運賃に対して約28%安く、回数券の割引率は16%になります。
区間 | 普通運賃 | 普通回数券 | 1回あたり | 割引率 | |
通し | 大津~大阪 | 990円 | 9,900円 | 900円 | 9% |
分割 | 大津~京都 | 200円 | 2,000円 | ||
特)京都~大阪 | 570円 | 5,130円 | |||
分割合計 | 770円 | 7,130円 | 648円 | 16% | |
通し運賃に対する割引 | 28% |
(例)垂水駅~大阪駅の場合
特定区間ではない「垂水駅(神戸市西部)~大阪駅」の回数券を買うときも、「垂水駅~大阪駅」と通しではなく、神戸駅を境に「垂水駅~神戸駅」と特定区間の「神戸駅~大阪駅」を分けて買います。
そうすると、運賃に対して約27%も安く、回数券の割引率も15%と高くなります。
区間 | 普通運賃 | 普通回数券 | 1回あたり | 割引率 | |
通し | 垂水~大阪 | 810円 | 8,100円 | 736円 | 9% |
分割 | 垂水~神戸 | 220円 | 2,200円 | ||
特)神戸~大阪 | 410円 | 3,690円 | |||
分割合計 | 630円 | 5,890円 | 535円 | 15% | |
通し運賃に対する割引 | 27% |
※垂水駅の場合は元町駅(片道220円)で分けても同じです。
定期券と併用することも
いつも通勤や通学に使っている定期券に、「特定区間」の回数券を組み合わせる使い方も、ありです。
例えば「大津駅~京都駅」の通勤定期券を持っていて、休みの日に大津から大阪まで、ちょこちょこ出るような場合、乗り越しする「京都駅~大阪駅」分の精算に、回数券をあてることができます。
「京都駅~大阪駅」は「特定区間」なので、回数券の割引率は18%。普通に乗り越し精算すると570円ですが、466円ほどで済みます。
なお、このような使い方をするときは、あらかじめ「京都駅~大阪駅」の回数券を、京都駅か大阪駅で買っておく必要があります(大津駅では買えません)。
【参考】回数券よりICOCAやPiTaPaが得な場合も
JRの回数券は、購入した日から3ヶ月間有効ですが、1ヶ月で11枚を使い切るくらい頻繁に「特定区間」を利用する場合、ICOCA(イコカ)やPiTaPa(ピタパ)の割引サービスの方が、節約になることがあります。
JR西日本には、「ICOCAポイントサービス」「PiTaPaポストペイサービス」の「時間帯指定」いう割引のしくみがあります。
これは、対象区間を1か月のうちに4回以上利用すると、4回目の運賃から30%、あるいは50%割引になるというものです。
ただし、平日の10時から17時の間か、土日祝の終日に乗車するという条件があります。
その割引サービスの対象は、京阪神を中心とした下記の路線の、ほぼすべての駅間です。普通回数券の「特定区間」よりもずっと多くて、「特定区間」もカバーしています。
- JR京都線: 京都駅~大阪駅
- JR神戸線:大阪駅~元町駅
- JR宝塚線:北新地駅・尼崎駅~宝塚駅
例えば、「大阪駅~京都駅」や「大阪駅~三ノ宮駅」を、ICOCAやPiTaPaで1ヶ月に11回利用したとすると、割引率は36%にもなります。「特定区間」の回数券の倍です。
あなたの利用する頻度や時間帯が、ICOCAやPiTaPaの「時間帯指定」割引サービスに合うようでしたら、回数券よりも、この方をおすすめします。
なお、割引はICOCAの場合は、翌月に1ポイント=1円として還元されます。PiTaPaでは後日請求の際に反映されます。

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