
こんな疑問にお答えします。
この記事の内容
- 「途中下車」や「途中下車前途無効」といった用語の意味と、お得な途中下車のやり方を紹介します。
「途中下車」という言葉は、ちょくちょくテレビ番組や雑誌の記事などで見聞きしたり、普段の会話でも何気に使ったりします。
でも、切符に書いてある「途中下車前途無効」などのそれは、ひょっとしたら、あなたの思っている意味と違っているかもしれません。
そのため、気ままにぶらりと途中下車して損することも。逆に、正しく知っておくことで、電車代を節約できる場合もあります。
そこで、ここでは切符上の「途中下車」とはどういうことなのかをまとめました。

「途中下車」とは?
切符などに書かれている「途中下車」とは、乗車券の区間(乗車駅~目的駅)内にある途中の駅で電車を降りて、いったん改札口の外に出る(出場する)ことをいいます。
電車から降りることではありません。改札口の外へ出る、つまり「駅から出る」ことがポイントです。
例えば、電車に乗っているときに、気分が悪くなったり、用を足したくなって、途中の駅で降りてホームのベンチで休んだり、構内のトイレに駆け込んだりするのは、「途中下車」には当たりません。
薬を買ったり、病院に行くために、改札口から駅の外へ出ると、「途中下車」になります。
「途中下車前途無効」「途中下車できません」の意味
「途中下車」した際、持っている切符(乗車券)の取り扱いは、その内容や種類によって、次のように違います。
- 途中下車しても、切符は有効で、再び駅に入って、目的地まで利用できる。
- 途中下車すると、目的地までの残り区間は無効になり、切符は回収される。
注意が必要なのは、やはり無効になる場合です。
これが適用される切符や案内文には、「(途中)下車前途無効」とか「途中下車できません」と記載されています。
「途中下車前途無効」とは、「途中下車」すると、先の有効区間(前途)は無効になりますよという意味です。
「途中下車できません」は、目的地に着くまで、駅から出ることはまかりならん!ということではなく、正確には、途中下車できます。でも、切符はその駅で無効になる=終了ということです。
JR(近距離)や私鉄、地下鉄の普通乗車券や回数券なんかは、基本的にこれに当たります。割引切符などお得な切符のなかにもあります。
「途中下車できません」や「下車前途無効」の切符で、途中下車すると、その理由がなんであれ、残り区間を「捨てた」とみなされます。このため、運賃の払い戻しもありません。
深く考えずに、気ままに途中下車すると、損することになってしまいます。
「途中下車」できる切符
乗り降り自由の切符は途中下車し放題!
途中下車できる切符の1つが「乗り降り自由」ものです。
その代表は、通勤や通学の定期券です。定期券の利用区間にある駅なら、どの駅でも途中下車できます。
それから、1日乗車券などの乗り放題切符です。JRだと「青春18きっぷ」や「関西1デイパス」など。
各切符が指定する路線や範囲内の駅で、途中下車し放題、乗り降り自由です。
「乗り降り自由」も、切符の案内でよく使われる言葉ですが、これは、厳密に言うと、途中下車(改札の出入り)を自由にできるということです。
JRの片道101km以上の乗車券は途中下車OK!
JRの乗車券は、近距離だと「途中下車前途無効」なのですが、目的地まで片道の距離が101km以上ある場合は、何回でも途中下車ができます。
ただし、一度通り過ぎた駅に戻って途中下車することはできません。
距離は、JRが取り決めた営業上のもので、JRの公式サイトで検索できます。
ちなみに、JR西日本の場合、101km以上の目安は運賃で1,980円(有効期間2日)~です。切符に「途中下車前途無効」の文字があるかどうかもで確認できます。
このJRのしくみを知っておくと、特に遠出する時は電車代を節約できたりします。
例えば、大阪から名古屋で行って、次の日にその続きで東京へ向かう場合、「大阪⇒名古屋」「名古屋⇒東京」と2枚の切符を買うより、通しで「大阪⇒東京」の切符で、名古屋で途中下車した方がお得です。
新大阪駅⇒名古屋駅 3,410円 名古屋駅⇒東京駅 6,380円 |
新大阪駅⇒東京駅 8,910円 (名古屋駅で途中下車) |
有効期間2日間+3日間 | 有効期間4日間 |
合計9,790円 | 合計8,910円 880円お得! |
新大阪駅~名古屋駅も186.6kmあるので、この区間でも途中下車が可能です。
途中下車しても有効なのは「乗車券」です。特急券は「前途下車無効」です。特急券は利用する区間ごとに購入してください。
例えば、新大阪⇒東京を新幹線で移動する際に、名古屋で途中下車する場合は、特急券は「新大阪⇒名古屋」で購入します。
もし「新大阪⇒東京」通しの特急券で、名古屋で下車すると、名古屋から東京までは無効になってしまいます。
乗車券には有効期間がありますので、途中下車して泊りながら移動する場合は、この中で目的地へ到着できるように計画を組む必要があります。
実際に、途中下車する際は、普通に自動改札機に通すだけです。途中下車できる切符なら回収されずに出てきます。
途中下車できるかどうか不明なときは、改札機を通す前に駅員に確認した方が無難です。また改札機が無い場合は、駅員に申し出てハンコを押してもらいます。
片道101km以上あっても途中下車できない場合
このJRの取り決めにも「例外」があって、以下の場合は片道101km以上あっても、途中下車できません(下車前途無効)。
- 「大都市近郊区間」内のみの利用
- 「○○市内」の範囲内
「大都市近郊区間」内のみの利用
JRでは「大都市近郊区間」というものを、東京、大阪、福岡、新潟、仙台の5か所で設定しています。
この大都市近郊区間のなかだけを利用する場合、距離にかかわらず途中下車できません。
例えば、関西で設定されている「大阪近郊区間」は下図の範囲になります。けっこう広いです。
「○○市内」の範囲内
乗車券の出発地や目的地の駅名が「大阪市内」「京都市内」「神戸市内」など「○○市内」や「東京都区内」となっている場合(「特定都区市内」制度)、その範囲内では途中下車できません。
なお、関西では「大阪市内」「神戸市内」で途中下車ができる特例があります。
【”大阪市内”発着の特例】「大阪駅」「北新地駅」間の乗り継ぎの場合
「大阪駅」と「北新地駅」との間の乗り継ぎに限って、途中下車ができます。利用当日中なら時間制限はありません。
【”神戸市内”発着の特例】「新神戸駅」乗り継ぎの場合
新幹線の「新神戸駅」を利用する場合に限って、「三ノ宮駅」「元町駅」「神戸駅」「新長田駅」で途中下車することができます。利用当日中なら時間制限はありません。
私鉄、地下鉄では「のりかえ」指定駅の途中下車のみ
JR以外のほとんどの私鉄や地下鉄では、距離に関係なく、普通乗車券や回数券で途中下車できません(下車前途無効)。
路線が長い近鉄電車にも、途中下車のしくみはありません。
ただ、関係する鉄道の駅が離れている場合、乗り継ぎ(のりかえ)のために途中下車を認めている例があります(改札外のりかえ)。
このため、途中下車できる駅も指定されています。場合によっては、時間制限も設けられています。
先に触れた、JRの途中下車とは性質が異なります。
【関西私鉄・地下鉄で「途中下車」のりかえ例】
- 大阪メトロの御堂筋線・四つ橋線・谷町線のりかえ「梅田駅/西梅田駅/東梅田駅」(30分以内)
- 神戸市営地下鉄の西神山手線・海岸線のりかえ「三宮駅/三宮花時計前駅」(90分以内)
- 近鉄橿原線・田原本線のりかえ「田原本駅/西田原本駅」(当日中)
- 近鉄生駒線・田原本線のりかえ「王寺駅/新王寺駅」(当日中)

コメント